結果発表は来年度中
文科省は今年7月、「不登校生徒に関する追跡調査研究会」を省内に設置。今秋から来年度にかけて、不登校生徒の進路状況などを追跡調査するのがねらい。文科省が同様の調査を実施するのは98年以来13年ぶり(メモ参照)。前回同様、森田洋司氏が同研究会の座長を務める。
今回の調査は06年度に中学3年生で不登校だった生徒を対象に実施される。
9月6日に行なわれた第2回研究会では、調査票の素案も示された。大まかに前回調査を踏襲するものとなっており、調査項目は大別して、①不登校当時の状況、②中学校卒業時の状況、③現在の状況の3点。調査方法についても前回同様、アンケートと電話インタビューで行なわれる。アンケートでは学校側と生徒自身がそれぞれ記入し、応諾を得た生徒については電話によるインタビューを別途行なう。
不登校政策に大きな影響も?
今回の調査は今年度新たに設けられた「不登校に関する調査研究」という事業であり、予算額は1200万円。不登校生徒の現状把握と分析を踏まえ、これまでの不登校施策を点検し、より適切かつ効果的な取り組みを検討するという。
98年の追跡調査において、不登校のきっかけとしてもっとも多く挙がった理由は「学校生活に起因するもの」であった。これは「生徒指導上の問題行動調査」など、文科省が行なう従来の調査とは異なる結果だった。また、不登校が現状に与える影響について「マイナスではない」(39%)が「マイナスである」(24%)をうわまった。
一方で、不登校ならびに卒業時に必要性を感じた支援として挙がったのが「心理相談」「出会いの場」「学習指導」などであり、同調査を行なった森田洋司氏は「今後の課題として、不登校後の進路をどうケアするかが重要」との認識を示した。
98年の調査結果は2002年に設けられた「不登校問題に関する調査研究協力者会議」でも資料として取りあげられ、2003年に出された最終報告書をもとに、文科省の姿勢は「"ただ待つ”から"早期対応”へ」と変化した。担任による電話掛けや家庭訪問が増え始めたのもこのころからである。
そのほかにも教育支援センターなどの拡充が図られるなど、追跡調査の結果が文科省の不登校政策に少なからず影響することが見て取れる。この点について文科省の担当者は「現段階では何とも言えないが、いまのところ新たに研究会や協力者会議などを開くなどの予定はない」と回答した。
アンケートについては年内、電話インタビューについては来年春ごろに実施後、集計される予定。同年秋ごろから分析が行なわれ、調査結果は来年度中に報告書としてまとめられる。
(小熊広宣)
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