本調査で注目すべきは、いじめの解消率だ。いじめの現状について「解消している」と答えたのが小学校で82・3%、中学校で78・5%、高校で76・9%、特別支援学校で78・1%と、8割にのぼる。ただし、本調査は各都道府県教育委員会の報告を集計したものであり、解消率を含め、実状をどれだけ反映しているか、大きな疑問が残る。このことは都道府県別のデータからも見て取れる。熊本県でのいじめ認知件数は6832件。同じ九州の佐賀県(68件)、福岡県(668件)と比べても多い。1000人あたりの認知件数でも32・9件と、全国平均の5件を大きく上まわり、4年連続で全国最多。一方、解消率も98・1%と、全国平均80・2%を大きく上まわるなど、都道府県ごとにばらつきがある。
自殺の原因6割が不明
児童生徒の自殺は200人(前年度比44人増)で、25年ぶりに200人に達した。そのうち、およそ6割にあた る115人の自殺原因が「不明」とされていることがわかった。このうち、いじめを主たる原因とする自殺は4人だった。警察庁が毎年取りまとめている自殺者 統計によれば、2011年中に自殺した児童生徒数は353人(前年比66人増)と若干の開きがある。こうした差が出るのも、遺族との関係を含め、各学校の 判断に委ねているためである。
高校生の不登校おおむね横ばい
2011年度における高校生の不登校は5万6292人 (前年度比585人減)。2005年度に6万人を割り込んで以降、ほぼ横ばい状態が続いている。そのうち、指導によって生徒が再登校できるようになった、 いわば「不登校解消率」は全日制で33・8%、定時制で26・6%だった。
また、高校中退者は5万3937人(前年度比1478人減)と、5年連続での減少となった。(小熊広宣)
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