NPO税制改正法案成立
NPOへの寄付、税金控除に
市民活動活性化へ期待
6月に税制改正法と改正NPO法が成立したことを受けて、NPO団体への寄付制度のしくみが大きく変わった。寄付にともなう所得税の控除は2001年よりすでに実施されているが、今回のポイントは「税額控除」の導入にある。2000円を超えた分の寄付金の4割が控除対象となるため、実質の負担分は6割ほどで済むことになる。
改正に伴い、寄付者は受けられる控除について、従来の「所得控除」、または「税額控除」かのいずれかを新たに選べるようになった。「税額控除」では、1万円を寄付した場合、およそ3200円が控除対象として減額される。つまり、寄付によって、3200円分の税金を納めたことになる。
98年のNPO法成立当時から、「払うべき税金を国だけでなく市民団体にも払えるようになれば、市民活動の活性化につながる」という声が多くあった。今回の税制改正、NPO法の改正は、それを後押しする足がかりとして期待されている。
NPO活動変遷の過渡期
今回の法改正は、NPOのしくみを大きく変え得る。これまで税額控除対象となるには、国税庁が認める「認定NPO」に認定される必要があったが、認定要件が厳しかった。5月31日現在、4万2741団体がNPO法人として認証されているが、そのうち「認定NPO」に認証されているのは223団体と、全体の1%にも満たない。
多くのNPO法人に共通している問題が財政基盤の脆弱さだ。ところが、自身の団体への寄付が税額控除対象となれば、寄付をする側だけではなく、受ける側もそのメリットを訴えることで、寄付を集めやすくなる。結果、いまだ未認証のNPO法人が「認定NPO」化を目指すことが今後予想される。要件が「2事業年度で3000円以上の寄付を100人以上から受けている」というかたちで、従来より緩和されたことも、そうした動きを後押ししている。
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