高知にて行なわれた登校拒否を考える全国合宿。そのなかでは不登校・ひきこもりの子を持つ親4人がシンポジストとして登場。今号はシンポジウム「私たちが子どもから受け取ったもの」の講演抄録を掲載する。

私も好きなことを


 今年21歳になる息子が最初に行けなくなったのは、保育園の年中さんのときでした。それでも小学校に上がると、きちんと朝起きて学校に行くので安心してたんです。

 ところが1学期の終わり、「お腹が痛いと言って保健室で休んでいます。お迎えに来てください」と、たびたび担任に呼ばれるようになりました。夏休み明けもぐずるので、「ここで甘い顔をしては休みグセがついてしまう」と思い、無理矢理行かせていました。

 学校に行った最後の日のことは、いまでも鮮明に覚えています。ふだん、人前ではけっして泣かない息子が、玄関の前で大泣きするんです。「お腹が痛いって言ってるのに、ホントに行けって言うん、お母さんは」と。それでも休ませませんでした。

 次の登校日、「吐いた」と言って、トイレから出てきました。急いで医者に行きましたが、内科的に悪いところはない。かかりつけの先生は不登校に理解があり、「お子さんはまだ小さいから無理強いすれば行くかもしれないけど、中学生になったら家庭内暴力とか出るかもね」と、言われました。それをきっかけに「とりあえず休ませよう」と、覚悟を決めました。

 子どもの顔色もどんどん悪くなるし、親として何とかしなきゃと思っているなか、1冊の本に出会いました。故・渡辺位さんの『登校拒否・学校に行かないで生きる』です。読みながら、ポロポロ泣いてしまいました。それまで「なにかがちがう」と、ずっと胸の中につかえていたものがスッと取れたような気がして、「子どもをどこかに通わさなくてもいいんだ」と思えるようになりました。

 ホームエデュケーションに関する本も読み、すぐさまホームシューレに連絡。息子が3年生にあがる直前で入会しました。

 やってきたこと、まちがってない 

 息子が10代のなかばごろ、よく言っていました。「お母さん、よかったね。僕のおかげで平々凡々の人生が変わり、日本全国にたくさんの友だちができた。しかもいろんなところに旅行ができるし、本まで出せて」って。たしかに、その通りなんです。ふつうに学校に行っていたら、私は"ミニ教育母”になってましたね。あ、ミニですよ、ミニ(笑)。

 最近では「ぼくはいい人に囲まれて育ってきたから」とも話してくれました。家族だけじゃなく、不登校をきっかけに立ちあげた親の会「あんだんて」のお母さんたちも、私の職場の人たちも、息子を責めることなく、遊びにも連れていってくれました。

 息子がそのことを感謝できる青年になったことがとてもうれしくて。「あぁ、自分がやってきたことはまちがってなかったな」って思えました。

 息子の将来についても悲観的に考えていません。自分の好きなことに取り組む息子を見ていると、私自身も何か好きなことを見つけたいなぁと思います。

 その日、その日をきちんと生きた積み重ねが将来ですから、あまり先のこと考えてもしょうがない。自分を消耗しすぎないよう、ゆっくりがんばってほしいと思います。