連載「ひきこもり時給2000円」


 『娚の一生』というマンガをご存知ですか? なんだか任侠ものみたいなタイトルですが、西炯子という人が描いた、れっきとした少女マンガ(オトナ女子マンガ)です。映画化もされて、榮倉奈々さんと豊川悦司さんが出ていたので、そちらで印象に残っている人のほうが多いかも。東京の電気会社に勤める堂園つぐみ(35歳)が九州の祖母の家ですごしていたところ、祖母の教え子だったという52歳の大学教授と出会う。そして、彼と祖母との関係がよく分からないまま、奇妙な同居生活が始まる……というお話です。
 
 僕はこのマンガが好きで何度も読み返したけど、よく読むとこのマンガ、お茶をいれるシーンが頻繁に出てきます。「お茶、いれて」「出がらしですよ」「色ついてたらそれでええわ」みたいな会話もあるし、相手にお茶をいれるという、一見、なにげない日常的な行為が、ふたりの関係をしっかりと近づけていくのがよくわかる。これくらい湯呑みと急須が頻繁に出てくるマンガもめずらしいです。そして、このマンガを読んでから僕は、「相手にお茶をいれる」というのは、じつはすごい行為なんだな、と感じるようになりました。


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