本紙では「不登校中の卒業式」に関してアンケートを実施した。回答者は10代~40代の不登校経験者80人。アンケートでは、不登校中でも卒業式に出席した者が6割と欠席者を上回った。しかし、出席、または欠席をして「よかったか」を聞いたところ「欠席してよかった」と答えた者がもっとも多かった。

 アンケートの質問項目は、①不登校中の卒業式の出欠状況(選択式)、②出席/欠席した場合の感想(3択と自由記述)。
 
 アンケート結果によると不登校中でも卒業式に出席した者は62%、欠席者は38%。出席者のうち、約半数は「校長室で」「教室で」「自宅で」など、特別なかたちでの卒業式に出席していた。



 出席者に「出席してよかったか」を聞いたところ、「どちらとも言えない」を回答する者がもっとも多かった(出席者の44%)。「後悔するのではと思い出席したが周囲の反応に傷ついた」「卒業式を体験できたのはよかったが、居心地がいいものではなかった」など、否定的な意見と肯定的な意見が相まった回答が多かった。
 
 このほか出席者の感想としては「学校に対する気持ちをリセットできた」など「出席してよかった」と答えた者が出席者の32%。「行かなくていいと知っていたら行かなかった」など「欠席すればよかった」と答えた者が出席者の24%を占めた。



 一方、欠席者に「欠席してよかったか」を聞いたところ「欠席してよかった」と回答した者が大半を占めた(欠席者の80%)。理由としては「学校には行きたくなかったので」「学校からは何も、もらいたくない」など学校自体を拒否する回答が目立った。「欠席してよかった」に次いで多かったのが「どちらとも言えない」(欠席者の13%)。もっとも少なかったのが「出席すればよかった」(欠席者の7%)。
 
 回答のなかには「卒業式に行ける状態ではなかったので欠席したのはよかった。ただ、後日、卒業証書を見て、『もう私はふつうになれない』と思いつらくなった」など、複雑な心境を語る意見も寄せられた。
 

当事者の意思 なによりも

アンケート回答の一部 

 全体を通して見受けられたのが「最後だから卒業式に出てほしい」など、周囲の求めに応じるかたちで態度を決めた者からは否定的な意見が相次いだこと。卒業式を理由に、本人の意思に反した対応も多々見られた。一方、「式に出られるか、出られないかは自分でもわからなかった」という感想も当事者から寄せられた。偽らざる本音だろう。当事者は複雑な心境を持つこともある。周囲がすべきは、やはり本人の意思の尊重ではないだろうか。卒業式当日まで本人が出欠を悩んだとしても、結論が何度も変わったとしても、「いま」の意思が周囲から尊重されること。それが本人の納得、ひいてはその後の肯定的な捉え方へとつながっているように思える。(石井志昂)
 

429号巻頭写真:写真AC