連載「ひきこもり時給2000円」vol.24


 もしその本に出会うことがなかったら、僕はいったいどうなっていたのだろう?
 
 ノンフィクション作家である柳田邦男さんの『犠牲(サクリファイス)わが息子・脳死の11日』。この本は僕にとって、とても思い入れのある1冊だ。昨年11月の「NEWS23」のひきこもり特集に出演したときに、僕が1冊の本を手にしているシーンがあったのを覚えている人もいるかもしれない。あのとき手にしていたのが、まさにこの本。柳田さんの次男の洋二郎さん(享年25)が、長い精神の病の末、自殺を試み、脳死状態を経て亡くなる最後の11日間を綴ったものだ。
 
 この本に出会ったのは1998年の4月。場所は通っていた大学近くの本屋。当時の僕は、大学生活に行き詰まりを感じ、いま思えばうつ状態の中で日々をすごしていた。当時、この本についての知識は、ほぼまったくと言ってよいほどなし。しかし、本屋でこの本を偶然手に取ったとき、僕は、「これは買わなければならない本だ」と直感した。不思議なことだが、本の表紙がほんのり光って見えた。


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