「不登校新聞」では、選挙に関わる現職議員が所属する10政党に政策アンケートを実施。回答したのは自民、公明、民進、共産、維新、社民、生活、新党改革の8政党(議席数順)。「日本のこころを大切にする党」「日本を元気にする会」からは返答がなかった。各党からの回答全文は以下のとおり。

自民党の回答


■教育機会確保法案についての見解は?
 わが党が熱心に取り組み、作成した法案です。次の国会での成立を切望しています。

■不登校への必要な政策は?
 不登校児童生徒に特別な教育課程の編成や学習機会の拡大を推進していきます。具体的には、指定を受けた学校は教育課程の基準によらずに特別の教育課程の編成を可能にする―――などの施策を引き続き推進していきます。

■ひきこもりへの必要な政策は?
 平成21年度から始まった厚生労働省の「ひきこもり対策推進事業」を推進し、ひきこもりの相談やひきこもりサポーター養育研修・派遣の一層の充実を図っていきます。

■9月1日をはじめとする「長期休み明けの子ども自殺」についての対策は
 学校、保健医療・福祉関係者、民間団体関係者とうの様々な関係者間の連携を促進し、特に生命の大切さに対する学校教育を充実し、社会全体としての対策を進めます。

■学校外の場で育つ子へに必要な政策は?
 文部科学省はフリースクール等の学校外の不登校支援施設・機関による指導体制や先進的な指導方法について調査研究を行いました。自民党はこの研究結果を基にしてフリースクールへの支援策を充実していく考えです。

公明党の回答


■教育機会確保法案についての見解は?
 公明党は、不登校やひきこもりの児童・生徒の受け皿として、多様な学び方を提供するフリースクールを公的に位置づけることを、いち早く訴えてまいりました。教育機会確保法案は、不登校児童の心情に寄り添いつつフリースクールなど多様な教育の機会を確保し、かつ、夜間中学校については入学希望に応じて自治体が公立校を設置するなど整備の推進を目指した議員立法です。とくに第13条に「個々の不登校児童生徒の休養の必要性を訴え」と明記させ、不登校の子どもたちには無理をして学校に行かなくてもいいんだよ、とのメッセージを送る大切な意味合いを包含させました。

 立法により学校外の多様な学びの重要性を法的に認めることで、国や自治体に対して、できるかぎりの学習支援、経済的な支援を求めていきたいと考えています。この法案は「多様な教育の実現に向けた第一歩」(浮島智子党本部文部科学部会長)であり、引き続き、子どもたちが安心して学べる環境整備に取り組んでまいります。

■不登校への必要な政策は?
 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置拡充はもとより、学校現場の課題に応じて教職員を配分する「加配定数」の改善、学校復帰等を支援する「教育支援センター(適応指導教室)」の設置など対策を進めます。とくにスクールカウンセラーは、いつでも相談できるよう週5日体制の導入を推進します。また教員だけでなくさまざまな専門家や地域の力を積極的に活用して学校全体の教育力を高める「チーム学校の取り組み」を進め、不登校対策にもつながる対応をしてまいりたいと考えております。

■ひきこもりへの必要な政策は?
 早期発見や相談事業党の役割をになう「ひきこもり地域支援センター」が全国で65カ所設置(平成26年2月時点)されるとともに、ひきこもりの経験者を含む「ひきこもりサポーター養成研修事業」が行なわれており、ひきこもりの人に寄り添った、よりきめ細やかな支援をしていくべきと考えます。
 
 また、ひきこもりが長期にわたる若者の就労に対して、社会的な自立に向けたサポートを含む「中間的な就労が可能となる雇用の受け皿づくりも必要です。住み慣れた地域で、本人の状態や意向を踏まえ、相談、生活、医療、就労、教育などさまざまな支援を組み合わせて包括的に支援すべきと考えます。
 
 たとえば自立や就労を支援する方策の一つとして地域に根ざしたNPO法人などの力を生かし、訪問支援や職業的自立に向けたワンストップの相談サービスも行なう「地域若者サポートステーション」の設置拡大と充実を公明党は強力に推進しています。また家族への支援も大切であり、安心して相談できる的口設置などの対応を推進します。

■9月1日をはじめとする「長期休み明けの子ども自殺」についての対策は?
 児童生徒の自殺を未然に防止するためには、学校現場等における予防教育やいつでも安心して相談できる体制の整備が重要と考えます。
 
 昨年、平成26年度版「自殺対策白書」が18歳以下の子どもの自殺が9月1日にもっとも多くなっていることを明らかにしたあと、文部科学省は夏休み明けの児童生徒の自殺予防について通知を発出、教職員等の見守り強化など重点的な対応を求めています。
 
 子どもたちが発するSOSを受けとめる窓口、たとえば文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル」、法務省の「子どもの人権110番」が設けられているので、一人で悩まず、周囲の大人多たちに話しにくいときは、電話でいつでも相談できるよと、子どもたちに周知していくことが必要です。
 
 また前問の回答で記載した通り、教育機会確保法案第13条に個々の「不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ」と明記しました。これは子どもを追い詰めないために必要な対応の一つと考えます。
 
 さらに本年公明党が推進した自殺対策基本法の改正では、学校が、保護者や地域住民等と連携を図りつつ、児童生徒の心の健康の保持に係る教育、啓発を行うことなどが明記されました。同改正法に基づき、より一層の対策を推進していきます。

■学校外の場で育つ子へに必要な政策は?
 小中学校での不登校への対応策として、学校長の裁量でフリースクールへの通学を「出席扱い」にできるよにしてはいますが、フリースクールは学校教育法上の「学校」ではないため、公的支援が受けられず、生徒もフリースクールも経済的に厳しい状況に置かれています。その点も踏まえ、前出の教育機会確保法案を議員立法としてまとめました。同法案は不登校の児童生徒が行なう学校以外の場での多様な学習活動の重要性をかんがみ、個々の状況に応じた必要な支援を行なうことを国や自治体に求めるとともに、財政上の措置等についても定めます。

民進党の回答


■教育機会確保法案についての見解は?
 教育機会確保法案は、多様な学びの機会を保障するため、基本方針として、不登校の子どもが安心して学校で教育を受けられる環境を整備することや、子ども一人ひとりの状況に応じた必要な支援について規定しており、それらに基づき、施策が推進することとする内容。一人ひとりの学ぶ権利と個性を尊重し、多様な学びの機会を保障するため、フリースクール等へ通う子どもへの支援及び夜間中学の拡充を図り、様々な環境やニーズに対応できるようにすることは必要であり、賛成。

■不登校への必要な政策は?
 子どもの虐待、いじめ、自殺の問題に正面から取り組み、相談体制を充実し、子ども一人ひとりに応じた支援の拡充が必要です。少人数学級推進による子どもの「見守り」機能の拡充をめざし、小学校1年生35人以下学級は維持し、小学校2年生から中学校3年生まで順次、35人以下学級を法定化すべきです。貧困、虐待、育児放棄などにより不登校となった子どもに対し、地域と学校が連携した支援を進めていきます。

■ひきこもりへの必要な政策は?
 子どもや若者の育成・支援には、教育、福祉、保健、医療、雇用などほぼあらゆる分野の連携と施策が必要です。
 
 民主主義政権下で施行した「子ども・若者育成支援推進法」「若者雇用戦略」や昨年施行かされた「生活困窮者自立支援法」等が骨抜きにならないよう、予算を確保し、ヒト・モノ・カネの手当てをしっかり行っていくことが必要だと考えます。

■9月1日をはじめとする「長期休み明けの子ども自殺」についての対策は?
 子どもの虐待、いじめ、自殺の問題に正面から取り組み、相談体制を充実し、子ども一人ひとりに応じた支援の拡充が必要です。民進党が主導して成立させた「自殺対策基本法改正案」において、学校における心の健康の保持に係る教育・啓発の推進が新たに追加されました。その趣旨を徹底していく必要があると考えます。

■学校外の場で育つ子へに必要な政策は?
 子どもたちに多様な学びの場を提供し、学習権を保持するてめ、様々な事情により既存の学校に通うことのできない子どもたちのためのフリースクールについては、現場の声を聞き、必要な支援策を進めていくべきと考えます。

共産党の回答


■教育機会確保法案についての見解は?
 法案の夜間中学部分は関係者が一致していますが、不登校部分については、少なくない関係者が反対されています。
不登校になった子どもには、「教育」より前に安心や安全の確保、休息が不可欠です。ところが法案は「教育機会の確保」が中心です。行政の「学校復帰」圧力を考えても、法案は不可欠な休息を保障せず「教育機会」を性急にせまる傾向を助長しかねません。「支援という大義名分で学校や教育関係者に情報を共有され、『指導』される」「家庭に学校の目が追いかけてくる」など懸念の声が出てくるのは当然です。こうした法案を強引に成立させることは賛成できません。
「とにかく法律を成立させ、その後の見直しでフリースクール支援に発展させよう」という意見もあります。その気持ちは分かりますが、引き換えに子どもを追いつめる内容の立法化は危ういと思います。関係者の願いに共通点は多くあります。それに基づいて、よく話し合い、子どもを追いつめる副作用もない、フリースクールへの経済支援にもつながる方向で再検討すべきです。

■不登校への必要な政策は?
 フリースクールや親の会などへの公的支援とくに経済的支援が急がれます。子どもと親が安心して相談できる、役立つ窓口も切実です。また、人間的な自立、進路や就労を支援する地域のネットワークが全国に必要です。
 
 同時に、不登校を生み続けている、学校のあり方をかえることが重要です。今のように子どもを管理し、競争させ評価するのではなく、子どもの自由と権利を学校の中心にすえて、学校を自由な場にする必要があります。〝安心して休める学校〟(それこそが安心して通える学校)という観点が大切です。

■ひきこもりへの必要な政策は?
 ひきこもりとその家族を支える児童相談所、保健所、医療機関などの専門機関を拡充します。地域の就労支援のネットワークを築くとともに、支援団体への助成をふやし経験・知識を生かします。ひきこもりが今日のように数十万人にも広がった背景には、競争的な教育や不安定雇用の拡大など「弱肉強食の社会」が、人々に挫折感を与え、かつそこからの快復を支える人と人とのつながりを希薄にしてきたことがあります。安定雇用や社会保障を拡充し、「だれでも安心して生きられる」社会への転換をはかります。

■9月1日をはじめとする「長期休み明けの子ども自殺」についての対策は?
 休み明けに自殺が多いのは、社会全体に、子どもに通学の義務があるととらえる傾向が根強くあるからだと思います。学校に通うことは、子どもの権利であり、義務ではありません。教育は子どものためにあり、子どもは心身を悪くしてまで通う必要はありません。そうしたことを大人と子ども全体で共有するための意識改革のキャンペーンが必要です。国もその立場に立って、社会的な議論をおこすべきです。「学校が嫌だったら図書館に」という社会教育からのメッセージに共感します。

■学校外の場で育つ子へに必要な政策は?
 学校以外の場で学び育つには、学校に通う以上の経済的負担がかかります。その経済的負担を減らすために、フリースクールなどの学びの場の事務所費用、運営費への経済支援、自宅で学び育つ場合の直接的な経済支援が必要です。事業委託などの方向をとれば、可能性は十分あります。また、子どもの育ちのために、子ども自身だけでなく、親や関わるスタッフたちが相談しあえるネットワークや窓口の整備が必要だと思います。