不登校新聞

312号(2011.4.15)

かがり火

2013年08月05日 15:17 by kito-shin
2013年08月05日 15:17 by kito-shin


 東日本を襲った大震災と大津波の影響で、悲嘆にくれる日本列島にも、ようやく桜前線が北上を始めた。人々の心をいやし、復興への気持ちが少しずつ芽生えて来るような気がする。

  余震や原発事故の影響もあって、やむを得ず故郷を離れざる人たちも少なくないと思われるが、故郷の桜や自然は、この春の出来事をしっかり記憶にとどめていてくれることだろう。誰の人生にも災難にあったり、苦難に直面することがあるだろうが、冷静になって、あわてず、うろたえず、ありのままをしっかり受けとめ、忍耐強く生きていくなかで、やがて希望の光も見えてくることだろう。

 本来、花見というのは冬を耐え忍んだ日本人が、春を喜びこれからの農作業に向かって、一時の非日常をいとおしむものであった。職業や地位に関係なく災難によって、日常は一瞬の出来事となり、花見も死者を弔う非日常にもなりうるだろう。

 しかしいつまでも嘆き悲しんでばかりはいられない。被災地だけでなく、日本が一つのことだけに固執することなく、新しい命や子どもを育て、次の時代を切り開いていくために、それぞれが精いっぱいの生き方をしていきたいものだ。生かされた者すべてが、困難を分かち合い、ともに生きていくための忘れ難い決意の春としたい。(森英俊)

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