今回は、竹内智子さん(仮名)にお話を聞いた。お子さんが中学1年生のときに不登校した。母親としての当時の気持ちをふり返りながらお話をうかがった。
――お子さんが不登校したのは?
息子が行かなくなったのは、中学1年生の夏休み明けでした。今なら「教育支援センターに相談しよう」とか「親の会に行ってみよう」なんて考えも浮かびますが、当時は視野が狭くなっていました。「早く対応すれば早く学校に戻る」と信じきっていたこともあって、ネットで見つけた「3カ月で学校に戻します」という謳い文句につられ、親子でカウンセリングに通ったこともありました。その時は気づきませんでしたが、息子のことをずっと「値引き」して見ていたんです。
――「値引き」というのは?
「息子はこのくらいの力しか持っていない」と見ていました。「だから私が歩きやすい道を探さなければ」と思い込んでいたんです。過小評価していたし、自分は一番の理解者で社会の先輩なのだというおごりがありました。何度思い返しても申し訳ない気持ちです。
気づきと手放し
――お子さんへのまなざしが変わるきっかけは?
不登校して1~2カ月がすぎたころ、息子がベランダから外を眺めていたんです。うちはマンションの10階です。「飛び降りて死んでしまったらどうしよう」と即座に思いました。
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