今回執筆するのは、加藤健二さん(仮名・28歳)。小学校から不登校をし、学校に行けない自分を責める毎日だった。しかし、ある日学校に行ってみると、想像とまったくちがう「学校」のすがたにとまどったという。
小学4年生のとき、担任の先生が変わった。「先生も変わったことだし」と説得され、嫌々ながら登校した。
その日、教室で授業を受けるまで、私は「学校に行かなければきちんとした大人になれない」と思っていた。学校は大人になるために必要な勉強をして、友だちと関わることで社交性を身につける場所だと思っていたからだ。行かなきゃいけないとわかっていても行けない。そんな自分は人間としての欠陥があるんじゃないかと追いつめられていた。
学級崩壊 目の当たりに
しかし、実際に学校へ行くと、目の前で起こっている学級崩壊を目の当たりにして、私はわけが分からなくなった。ほとんどの人が勉強などしていない。とにかくうるさい。みんな、お笑い番組のように騒いでいる。騒いでいない人も、ただたんに先生に怒られるのが嫌だから黙っているだけの表情をしていた。
授業の内容は、おどろくほどかんたんだった。算数の授業では「平行四辺形の面積の求め方」を習った。底辺と高さをかけ算すればいいだけだ。
それまで、学校に行けなくて勉強についていけるのか不安だったが、塾へは行っていて、すでにやり方を知っていた私は「なんだ、かんたんじゃん」と安心する一方(安心するのは早いかもしれない。みんなこれくらいできて当然かも……)という思いも持っていた。すると、先生がみんなを当て始めた。ところが、みんな全然できないのだ。そりゃそうだ。しゃべってるばかりで話など聞いていないのだから。とてもげんなりした。
学校は勉強をする場所なのに、誰も勉強なんてしていない。むしろ学校なんか行かず、1人のほうが勉強できるじゃないか。なんのためにつらい思いをしてまで登校したのか、なんのために追いつめられていたのか、わからなくなった。
中学校はもっとひどかった。
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