私が、なぜ不登校になったのか。その理由は、いつも悩みながら決めてきました。しかし学校から、調査を目的に「不登校理由」を聞かれたことは私も親も一度もありません。15年間、取材を続けていますが、調査のために「不登校理由」を聞かれた人に出会ったこともありません。
 
 本人以外が決めた「不登校理由」が、不登校施策の根拠になっています。当事者なき実態調査は、当然、実態とズレます。実態とズレているからこそ、50年間で累計300万人の不登校が苦しんできたのではないでしょうか。学校だけに責を問うつもりはありません。あえて誤解の多い言い方をすれば、当事者に「正しく」聞いてほしいと私は願っています。いやがる人には聞かないことは当然のことです。不登校理由は、本人にとって「話したくない」「言葉にできない」ものでもあります。
 
 しかし、だからといって本人が意思を示す機会がなくていい、ということにはなりません。不登校の理由を、学校、教育委員会、文科省に伝えたい人もいます。私自身はそうでした。右の記事でも紹介したように、いま現在、「調査に協力したい」という中学3年生の生徒もいます。意思を伝えたいと思う人が意思を伝えられる機会を設けることは必要ではないでしょうか。もちろん、そもそも学校と子どもの認識に16倍もの開きがある調査結果を「実態」として扱い、そこを基盤に不登校施策が組まれていることは問題です。
 
 まずは「本当に調査結果はズレているのか」を小規模で調査してみるのはどうでしょうか。ある政令指定都市や自治体などにかぎって、学校に配布した調査票に対し、本人がメールや郵送で回答する。その回答結果から、次の進むべき道が検討ができると思っています。(全国不登校新聞社・石井志昂)