不登校新聞

451号 2017/2/1

「つらければ辞めたら」とみんな言うけれど…【不登校その後】

2017年01月31日 10:28 by kito-shin
2017年01月31日 10:28 by kito-shin


 今回お話を聞いたのは、渡辺結さん(仮名・27歳・女性)。渡辺さんは不登校を経験しフリースクールに通った。その後、社会に出て働いたのだが…「不登校のその後」に経験したこと、感じたことを話してもらった。

 去年の夏に、それまで5年間勤めていた勤務先を辞めました。その後、就職活動をしたんですが、なかなかうまくいかなくて……そんな話をしたいと思います。
 
  仕事は、それなりにやりがいもあったし、同僚との関係も悪くないし、とくに不満もなく働けていました。でも1年前の1月、正月休みが明けて仕事が始まる直前にお腹がすごく痛くなったんです。「これは、仕事が始まるからなのかな」と思いました。
 
 それまでは夢中で働いていたから気づかなかったのですが、勤務時間が長かったり、自分のやりたいように仕事ができなかったことが、いつのまにかストレスとして溜まっていったんだと思います。
 

自分の気持ちを大事にしたい

 
 また、仕事とは別に、東日本大震災の復興支援ボランティアに参加したことがあるんですが、そこで「自分のやりたいこと」を大切にして生きている人たちをたくさん見て「私はなにをやってるんだろう」と思ったのも大きかったと思います。私は昔から絵を描いたり楽器を弾いたりするのが好きだったので、そのころから「もっと自分のやりたいことを大事にして生きていきたい」という思いが強くなってきました。
 
 その後は、どんどん仕事がつらいものになっていきました。日に日に体がしんどくなってきて、情緒は不安定になるし、仕事中にも涙が出てきて止まらなくなるような状態でした。
 
 ですが、すぐ仕事を辞めることはできませんでした。当時は「仕事を辞める」という選択肢を選べませんでした。自分には求められている役割があったので、自分が抜けちゃうと穴ができてしまうから、申し訳なくてそんなことできないと思っていました。
 
 それでも、行くのがつらいという気持ちは募っていたから、「辞めたいけど辞められない」という板挟みに苦しみました。去年の冬から夏まで、毎日泣いているような生活でした。
 
 しんどかったのは、自分の気持ちを、まわりの人に理解してもらえないことでした。
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