2016年9月、文科省が全小中学校へ向けて「不登校を問題行動と判断してはならない」との見解を含む通知を出した。本紙では11月(本紙446号)に報道したところ、数多くの反応が寄せられた。とくにWEB上での反応が強く、該当記事の公開日には1日平均の約8倍のアクセスが集中した。

 通知の内容は


 2016年9月に出された通知によれば、不登校の期間は休養や自分を見つめ直すなど「積極的な意味を持つことがある」としたうえで、不登校支援の目的は「学校復帰のみ」に捉われることなく、社会的自立を目指すよう学校や教育委員会に求めている。
 
 さらに支援に際しては「不登校児童生徒に寄り添い共感的理解と受容の姿勢を持つことが重要だ」とも指摘した。一方、不登校が継続することは、本人への不利益や社会的自立へのリスクが存在するなど「望ましいことではない」とし、早期支援の重要性も示唆されている。このほか、支援を目的とした個人情報の収集や関係機関の連携強化など、具体策も盛り込んだ。

3度の通知、以前の反応は


 そもそも不登校についての通知は過去3度、出されている(1992年、2003年、2016年)。3度の通知を読み比べると内容は一貫して「児童生徒の立場に立った適切な指導」を求めており、大筋の方向性は変わっていない。だが、不登校の子を持つ親たちや社会に与えた印象は毎回、異なるものであった。

 1992年通知で、もっとも注目を集めたのが「不登校は誰にでも起こり得る」という文言であった。通知は「文科省の認識転換」を表すものだと言われ、「治療対象」や「怠学・非行の一種」だと捉えられていた不登校への見方を変えていく契機となった。

 しかし、2003年の通知で、もっとも注目を集めたのが「ただ待つだけでは状況の改善にならない」などの文言。その後、子どもの状況を無視した登校圧力や「不登校半減政策」など数値目標を掲げた対策が見られるようになった。そのため不登校の親や関係者からは、2003年以降を「揺り戻しの時代」と呼ぶ者もいる。

 そして今回発表された通知で注目を集めたのが「不登校は問題行動ではない」という文言。不登校の親たちから歓迎する声が上がる一方で懸念の声も上がっている。具体的には「早期対応の重要性」が強調された点、個人情報の収集が強化された点などは「不登校の子どものブラックリスト化」(本紙448号参照)だという声も上がっている。

 本紙に寄せられた反応としては、10代の不登校経験者から「うれしい」「ホッとした」という声もあったが、20代、30代の不登校経験者からは通知内容を疑問視する声も聞こえた。一方、不登校の子を持つ親からは好意的な反応が多く、学校関係者やフリースクール関係者からは賛否双方の声が聞かれた。このように反応は年齢や立場を越えてさまざまだった。本紙では寄せられた声をもとに、通知作成に携わった文科省の不登校支援担当に取材をしている。(本紙編集長・石井志昂)


本紙に寄せられた当事者、親、学校関係者の声


【10代・不登校経験者】学校の先生が「不登校は問題行動ではない」と言ってくれるならすごくうれしい。

【20代・不登校経験者】問題行動とは誰にとっての問題行動だったのだろうか。

【20代・不登校経験者】なんか気持ちがもやっとする通知。そもそも文科省が問題視してきたから、ここまで問題が大きくなってきたんじゃないの。

【30代・不登校の子の親】「休み始めた子はまず無理にでも連れていって通学の習慣をつけさせる、というのが鉄則みたいなものだから」と先生から言われていたので、この通知には癒される。不登校の選択をした子どもの人生を前向きに支えていくような、学校や地域だといいなあと思います。
 
【30代・不登校の子の親】国がこのように動いてくれることはうれしいですね。このような見解が広く認知されることを願います。

【40代・不登校の子の親】この言葉が不登校に苦しむ親子にどれだけの力をくれるのか。本当にすばらしい!!

【30代・教員】意味のある通知だとは思いますが、これまでの姿勢とちがう方針なので学校現場は戸惑うのではないでしょうか。

【30代・教育支援センター職員】教員のみなさんはこの通知をご存じなんでしょうか。行動の端々から「不登校=問題行動」と捉えていることがバレバレです。そういう一部の大人の行動・言動が問題行動のような気がします。

【40代・自営業】よかった! でももっと早く動いてほしかったな~‥。私が子どものときは「不登校児」=「問題児」と決めつけられ、社会からのはみ出し者扱いでした。

 

■文科通知の内容(一部抜粋)

 不登校とは、多様な要因・背景により、結果として不登校状態になっているということであり、その行為を「問題行動」と判断してはならない。不登校児童生徒が悪いという根強い偏見を払拭し、学校・家庭・社会が不登校児童生徒に寄り添い共感的理解と受容の姿勢を持つことが、児童生徒の自己肯定感を高めるためにも重要であり、周囲の大人との信頼関係を構築していく過程が社会性や人間性の伸長につながり、結果として児童生徒の社会的自立につながることが期待される。

※「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」より一部抜粋