連載「あのとき、答えられなかった質問」vol.3

 「ひきこもりが長引いたのはなぜですか?」と聞かれれば、「人生の時間が止まってしまったから」と答えます。
 
 私が最初にひきこもった25年ほど前は、まだひきこもりという言葉はほとんど知られていませんでした。心療内科の先生にかかったときも、「ひきこもり」という言葉は一言も出ませんでした。またインターネットも普及しておらず、情報にアクセスすることも困難でした。「こんなことになっているのは世界中でオレひとり」と思っていて、そのことにも打ちのめされていました。本屋に行っては、自分と似た人のことが出ている本はないかと必死に探したのを思い出します。ひきこもりを考える手がかりといいますか、どう捉えていいのかが、わからなかったのです。
 
 「History」のなかに「story」という単語が含まれているように、歴史はしばしば物語という形式を取ります。人生も自分の中で物語という形を通して了解しているところがあります。「私はどこどこ県で母誰々と父誰々の元に生まれ」から始まり「何々小学校に入り妹が生まれ、しかじか県に父の仕事の関係で転勤し」のように自分で自分のストーリーを紡いでいく感覚です。しかしひきこもったところで書いていたストーリーが突然ストップしてしまいます。その前のストーリーとひきこもりという事柄がうまくつながらないのです。そして、そもそもこんな物語は書きたくない!!


この記事は登録読者だけが閲覧可能な内容を含みます。続きを読むにはPublishers IDによる読者登録が必要です。