連載「あのとき、答えられなかった質問」vol.4
「ひきこもりの解決はなぜ難しいのでしょうか?」と聞かれることがありますが、私は「なにが問題かをまわりも本人も認識するのが難しいから」だと答えます。
まず、なぜひきこもるのかを考えてみます。私は就職活動中に社会に出るのが怖くなって家から出られなくなりました。この「社会に出るのが怖い」という気持ちを誰か伝えられれば、ひきこもるというかたちはとらなかったと思います。しかし誰もが当然のように就職するなか、「自分だけできない」のは猛烈に恥ずかしいし、自分のプライドも許しません。また「怖い」という感覚を話しても「誰もわかってくれないのでは」と思っていました。もちろん、「なぜ怖いのか」もわからなかったのです。
親や教師などまわりにいる人はなんとか本人から話を引き出そうとしますが、もともと言葉にならない、あるいは、わかってもらえないと思っているからひきこもったのです。そうかんたんに自分の内面を話すわけがありません。
言葉によるやり取りの難しさ、これが状況改善への道を妨げている理由の一つだと思います。
たとえば「恋人がいない」というのが本当の悩みなのにもかかわらず、悩んでいること自体を恥ずかしく感じてしまうと、親や周囲の人には相談できません。
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