連載「子ども若者に関する精神医学の基礎」


 

精神医学をめぐってみなさんが気になることは診断のほかにもいくつかあると思います。「何科に通院すればいいのか」という戸惑いも、その一つではないでしょうか。親であれば、「わが子を何科に連れて行けばよいのだろう」と悩まれている方も少なくないのではないかと思います。


いま、医療機関にかかろうとすると、「精神科・精神神経科」だけではなく、「心療内科」「神経内科」に加え、「心の相談室」「メンタルヘルスクリニック」など、さまざまに存在します。

まず、医学的診療科と認められているのは、「精神科・精神神経科」「心療内科」「神経内科」の3つです。それ以外は臨床心理士などの心理臨床家も名乗ってよいものです。科によって何がちがうのかというと、「精神」に対する見方、取り扱いそのものがまったくちがいます。そのちがいを説明する前に、そもそも人類は「精神」についてどう考え、どう扱ってきたのか。歴史的な経緯をかんたんに整理しておきたいと思います。

「精神」というのは古来、精霊や霊魂として考えられ、まじないや呪術の対象として取り扱われてきました。日本語で置き換えるならば「気」です。たとえば、うつ病であれば「気がうつうつとする」と表現されますし、差別的なニュアンスを含むようになった「気ちがい」「気が狂う」といった言葉や、「気が散る」「気が気でない」「気が休まらない」という表現のように、精神障害も「気」の状態として表現されます。

世界中で、「精神」は「精霊」「霊魂」からスタートして、その後「気」「知情意」「心」として文化に根づき、個人的には疑問を感じますが、最近では「精神イコール脳」と理解され始めたという変遷をたどってきました。



この記事は登録読者だけが閲覧可能な内容を含みます。続きを読むにはPublishers IDによる読者登録が必要です。