連載「子ども若者に関する精神医学の基礎」


 今回から、いわゆる「ADHD」についてお話します。

 Aは「Attention/注意」、Dは「Deficit/欠けている」、Hは「Hyper-activity/超・活動的(多動)」、Dは「Disorder/障害」と、それぞれの単語の頭文字を取ったものです。以上から、「ADHD」は「注意欠如多動性障害」と訳されます。ただしアメリカ(DSM―Ⅴ)では「AD/HD」と、あいだにスラッシュをおいて、「注意欠如・多動性」と分けて書きます。

 一方、WHO(ICD―10)では、「HD(多動性行動障害)」です。同じHDですが、じつはこのHは「Hyper-kinetic」の頭文字。

 両者の差は、単語の差だけではありません。「AD/HD」は、今年5月から「神経発達障害(石川の仮訳)」に分類されるようになりましたが、HDのほうはまだ「情緒・行動の障害」に分類されています。ほかにも、細部で両者にはちがいがありますが、この差は「自閉症」と同様、解釈が次々変化してきたことから生じました。


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