◎連載「ひきこもるキモチ」
当時、自分の置かれた状況に背筋が凍ったことを覚えている。「新卒で入社した会社を辞めてしまった…」。すでに25歳が近かった僕は、まともな会社に入社できるチャンスを失ってしまったと、ひどい不安に襲われた。ひきこもりがちになり、兄の説得でバイトをしてみるも、病気でどれも続かなかった。
そこから本格的にひきこもりが始まる。夕方近くに重い体を起こし、ゴミで散乱した部屋をかき分け、パソコンの前に座る。用意されていた朝食をこっそり取りに行き、自室で食べる。トイレも、家族と鉢合わせる危険性があるから、慎重に頃合いを見て、限界まで行かない。家族が寝静まるまで待ち、静かに冷蔵庫をあさって夜食をつくる。新聞配達のバイクの音が聞こえるころに、ベランダでタバコを一服しながら、自分の状況を後悔して涙をながす。睡眠導入剤を飲み、ベッドに落ち込むように倒れて、朝日を感じながら寝る。
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