同級生の証言、法廷動かす
日本初の「いじめ自殺国賠訴訟」について東京高裁は第3回口頭弁論後、和解を勧告した。2005年に自殺した埼玉県北本市の中井佑美さん(当時12歳)の両親が市と国に対して損害賠償を求めていた。和解内容はまだ明らかにされていない。
訴状によると中井佑美さんは小学6年生ごろからいじめを受けていた。母親が担任教師に注意をするよう要請し、担任は佑美さんと同級生2名を交え た話し合いの場を設けた。しかし、その後、佑美さんは同級生2名らにトイレへ連れ込まれ「便器に顔を突っ込め」と言われるなど、いじめは深刻化。中学校へ 進学するとさらに深刻化し、2005年10月11日、佑美さんは8階立てマンションの屋上から飛び降りて亡くなった。
昨年7月、1審の東京地裁では「不愉快に感じることはあったと思われるが、一方的・継続的でなく、いじめではない」と判断し、原告側の請求を全面的に棄却した。
昨年11月に開かれた控訴審の第2回口頭弁論の証人尋問では、同級生1人が証人として出廷し、佑美さんがいじめられていたことを泣きながら語った。
原告代理人の児玉勇二弁護士は意見陳述で「いじめの事実なしという判決を受け、同級生が驚いて、法廷で真実を伝えようと証言台に立ってくれた。子どもたちは真実を教師から知らせてほしかった。裁判所には責任ある判断を強く望む」と語った。
両親は「和解が意義のあるものであれば、和解をする可能性もあり、そうでなければ判決を迎える」と語っている。判決の期日は4月25日。
以下、2013年4月25日 判決日当日の速報
【速報】東京高裁、一部事実認定も“いじめではない” 埼玉県北本市いじめ自殺国賠訴訟
4月25日、東京高裁101号法廷で行なわれた北本市いじめ自殺国賠訴訟について判決が下された。東京高裁は、いじめ自殺でなくなった中井佑美さんの遺族の訴えを棄却した。判決後、原告と原告代理人は記者会見を行ない、上告する意思を示した。
中井佑美さんは2005年10月11日、8階建てマンションの屋上から飛び降りて亡くなった。佑美さんは小学6年生ごろから同級生数名から「靴を隠される」などのいじめを受けるようになった。母親が担任にきちんと指導するよう求めたものの、その後もいじめは深刻化した。
東京高裁は今日の判決において「靴隠し」などの事実については一部認定するも、「それらはいじめではない」と判断。また、佑美さんと同級生間のわだかまりについても「後に解決している」とし、「不愉快に感じることはあったと思われるが、一方的・継続的でなく、いじめではない」との1審判決を支持、原告の控訴を棄却した。
また本件は、佑美さんの自殺の背景には学校制度の問題もあるとし、国を相手取った国家賠償請求訴訟でもあったが、東京高裁は司法判断を回避した。
佑美さんの父親・中井紳二さんのコメント「いじめを根本的に理解していない判決」
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