今号は前号に引き続き、寄生虫博士・藤田紘一郎さんのインタビューを掲載する。前号は寄生虫研究を始めた経緯をお話しいただくとともに、持論である「寄生虫が花粉症などのアレルギーを抑える」というお話をしていただいた。今号では、寄生虫研究から見えるいのち観をお話しいただく。
――なぜここまで寄生虫は嫌われるのだと思いますか?
やはり売れればいいというコマーシャルイズムが産んだ「清潔信仰」が原因だと思います。日本人はもっとも生き物に対して優しい民族でした。「一寸の虫にも五分の魂」という言葉もありますが、ノミ、ダニ、ハエにでさえ「ムダな殺生は」という考えが古くからありました。あの回虫でさえ「居てもしょうがない」と思い、うまく共存していたんです。その結果、産まれたのが「むしの知らせ」「むしずが走る」などの言葉。あれはすべてお腹のなかの回虫を指しているんです。
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