不登校新聞

344号(2012.8.15)

シューレ大学国際映画祭開催へ

2013年03月09日 11:24 by kito-shin
2013年03月09日 11:24 by kito-shin
テーマは「生きたいように生きる」

 シューレ大学国際映画祭「生きたいように生きる」第5回を迎えました

 この映画祭は「生きたいように生きる」という趣旨の映像表現なら、フィクションでもドキュメンタリーでもアニメーションでもジャンルを問わず、また、日本のものでも海外のものでも制作者の国籍も問わない映画祭として始めました。

 映画祭のテーマを「生きたいように生きる」に掲げたのは、真綿で首を絞められるような正体をつかみにくいような生きづらさや閉塞感を感じるけれど、自分であることをあきめずに生きていくことの可能性を切り拓いていくような映像を集めた映画祭をやりたいと考えたからです。映画祭には、日本のドキュメンタリー映画を代表する原一男監督に映画祭に関わっていただいています。

 映画祭は、趣旨に合った映像作品を募る公募部門、海外招待作品部門、原一男監督の作品と講演、国内外のフリースクールの子どもたちの映像を集めたフリースクール部門があります。公募部門には国内外の主として若手の映像制作者から作品が寄せられます。その公募作品は原一男監督とシューレ大学の映画祭実行委員会の選考委員が選んでいます。いままで選考した作品のなかからほかの国内外の映画コンクールで受賞するような映画も出て来るようになっています。「働くこと」「セクシャリティー」「ナショナルアイデンティティ」などテーマの幅も広いです。

 この映画祭では、映像をつくる人どうしにかぎらず、映像を見る人も含め、人が出会える映画祭にしたいという思いがあり、なるべく上映作品の監督には映画祭に来てもらってトークセッションでフロアーの人も含め話してもらったり、また、パーティーも開いたり、カフェを設けたりもしています。

若者の作品続々と

 今年はフランスの新進気鋭の映像作家アンナ・マリア・ゴメスさんのいじめを経験した少年のドキュメンタリー作品「Simomen」、アメリカの摂食障害の当事者が自らを捉えた作品「Broken brokbne mirror」、フリースクール出身者がどのように生きるのかをテーマとした作品「いかに生きるべきか フリースクールを出た3人の青年の話」など力作がそろっています。いじめを経験した監督がいじめられている少年を主役に制作した「死にたすぎるハダカ」も注目作品です。「オートマトン」という作品は、イギリスのフリースクールサマーヒルスクール出身の映像作家アンナ・マリア・ラムさんが現代の労働を風刺した作品です。フリースクール部門では東京シューレの子どもがこの映画祭に間に合うようにつくったフリースクールの日常を描いた作品も出品されます。ほかにもアートアニメーションを含め幅の広い作品が6カ国から15作品そろいました。また、今年の原一男監督の上映はユニークで、劇場公開されたことのないドキュメンタリー映画をサプライズ上映します。未公開最新作なのか、はたまた以前につくられた秘蔵作品なのか、当日のお楽しみです。

 5年目を迎えたこの映画祭ですが、人の人生を変えるような作品をもっと上映したい、もっともっと出会いたい人と出会える映画祭でありたい、と思いながら続けてきたように思います。毎年、映像の幅も少しずつ広がってきています。表現について濃密な言葉のやり取りができるのも映画祭を続けるエネルギーの源泉になっていると感じます。私たちは映画の選考委員をしていますが、選考をすることは自分の表現についての姿勢を問われることでもあり、身を切りきられる思いをすることで、結局は自分がしたい表現に一歩ずつ近づいていけるのではないかと思います。また、同時に、この映画祭を創ることは、私たちにとっては文化をつくることでもあるのではないかと、このころは感じてもいます。何を人と共有したくて、どんな表現を選んでいくのか、そのことで、ささやかながらも文化をつくることに連なっているのではないか、ということです。そんな文化をつくることは、つまり、私たちの映画祭に足を運んで下さるあなたといっしょにつくることでもあります。ぜひぜひ、この夏もシューレ大学国際映画祭にお出でください。(実行委員 山本菜々子・長井岳)

■イベント詳細
期 間 8月24日(金)~26日(日)
場 所 シューレ大学特設映画館
お問合せ先03・5155・9801/HP http://shureuniv.org/filmfes/

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