ひきこもりは悪か?
ひきこもり当事者による雑誌「イリス」では、さまざまな創作・詩・評論も掲載された。評論では当事者による『「ひきこもり」にはプラス面もある』というタイトルで文章が載っている。
ひきこもりを悪者扱いするテレビや新聞などのマスコミ、ひきこもりを口汚く罵るタレント、あるいはひきこもりを解決するとしてボロ儲けをする者や大量の劇薬投与により死者も出ている医療機関を挙げ、その人権侵害を指摘。そして、ここに共通するのは「『ひきこもり』をただ『悪』と決めつけ、復学(進学)や就職をもって『解決している』点」だと指摘する。しかし、「よく考えてみればプラス面もあるのではないか」と評論筆者は続ける。いま、学校にはいじめや過酷な部活動などさまざな人権侵害などもあり、そういうひどい学校から登校拒否をすることは、ほかの生徒のためにもよく、学校もその問題点をあらためようとする、と。職場も同様で、過労死や職場いじめがあるなかで、文句も言わず働き続けることは、さらに状態を悪化させるだろう、と述べた。
また「ひきこもりは日本経済にとって損失」という内容の記事が報道されたことについても述べた。ここでは、現在の日本は失業率が5%以上(当時)で、労働力が余っているため、ひきこもりの人がムリに働いて失業率をこれ以上、下げなくてもいいのではないかということ。次に、日本社会は「カネあまり」状態で、不必要な公共事業や都市再開発といったむだ遣い、そして戦争への費用まで出している状態なのだから、ひきこもりが増えてGNPが下がっても、それは問題ではなく、むしろ「カネ余り」状態への解決につながるのではないか、と指摘した。だからこそ、「『ひきこもり』をしている人や家族もけっして罪悪感を持つ必要はなく、無理に治そうとする必要はないと思います」と述べて原稿を締めている。
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