在宅でつながる輪
小中学生の不登校の数は11万7458人(23年度/文科省調べ)。このうち一番多いのは、適応指導教室やフリースクールなどに通う人ではなく、家を中心にして育つ在宅不登校である。そんな在宅不登校の家庭を支援するホームシューレが今年20周年を迎えた。
家を中心に育つことを「ホームエデュケーション」「ホームスクーリング」とも呼ぶが、ホームエデュケーションの支援団体は世界各地にある。アメリカでは1960年代~70年代にかけてホームスクーリングが広がり、83年以降、公教育化も進んだ。そのため全米で204万人(全米ホームエデュケーション調査研究所/2010年調査)のホームスクーラーがいると言われている。こうしたホームエデュケーションの考えを積極的に導入しながら在宅不登校支援の活動をしてきた団体のひとつがホームシューレだ。
文科省の認識転換、機に
ホームシューレが生まれたのは93年。92年に文科省が「不登校は誰にでも起こり得る」との認識を示し、フリースクールなどに通うと学校の出席日数としてカウントされるなどの措置がとられた。これを受けて東京シューレには、本人の意志に反した入会希望者が続出。東京シューレではより強く家にいることが肯定される必要性を感じ、大規模な不登校アンケートやイギリスやアメリカへの研修を実施し、現在のホームシューレの下地を整えた。アンケートでは「情報」と「交流」を求める当事者の声が多く、ホームシューレは創刊当時から媒体となる会報誌『ホームシューレばる~ん』(子ども向け)、『親から親へ伝えたいこと・メッセージ』(親向け)の発行を決定。設立を記念したシンポジウムには900人が詰めかけ、メディアは「ホームエデュケーション元年」という見出しをつけて、その動きを報じた。
現在、ホームシューレに所属する家庭は180家庭。会報誌発行のほかに、オンライン交流のための専用サイト「サイバーシューレ」やSNSが設置され、希望者には学習サポートも行なっている。会員どうしで集うサロンやオフ会は年間延べ80回。特徴は会員の自主性が高いこと。オフ会の多くは会員(親)が中心となって運営されており、『ホームシューレばる~ん』の編集・発送はすべて10代~20代の会員が行なっている。
ホームシューレでもっとも大きなイベントは「ホームシューレ全国合宿」。今年で15回目の開催となるが例年100人程度が参加する。合宿ではシンポジウムなども行なわれるが、会員によるピアノ演奏やダンスなどのステージ発表、子ども市などもあり、交流を深める場となっている。
ホームシューレでは「ホームエデュケーションについてもっと知りたい」という方向けに、6歳~20歳の子を持つ親の方には無料でブックレット『ホームエデュケーション始めませんか』を配布している。希望の方はホームシューレまで。
■ホームシューレ
〒114-0021 東京都北区岸町1-9-19
TEL&FAX:03-3909-0046
HP http://www.homeshure.jp/
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