2009年に開かれた日本児童青年精神医学会総会は、前号で述べたように、製薬産業との癒着による診療、研究、学会のあり方への歪みにメスを入れ、改革しようという姿勢を持った思い切った大会であった。しかし、全体として講演16本、シンポジウム・パネルディスカッション・セミナー7本、口演発表94本、ポスター発表133本という膨大なるプログラムのすべてがそんな姿勢を持っていたわけではない。また、不登校に取り組んできた私たちから見て、医療機関の捉え方や対応に疑問を感じる発表も多かった。

不登校の原因はすべて発達障害?


 全体的に、発表テーマの傾向は、圧倒的に「発達障害」であり、それにからんでの「特別支援教育」が多かった。少し前には、ひきこもり、その前は不登校・登校拒否が焦点だった。いまも不登校やひきこもりは変わらなく存在するけれど、医療や研究者たちの興味・関心はそこにはない。「もうわかっている」と言わんばかりである。

 しかし、よく聞くと、不登校の原因はすべて発達障害にあるかのような発言や考え方がされているものもかなりあった。なんらかの発達障害を持っていれば、その特性に応じて子どもが楽にやっていける環境調整をし、生きやすくすることが必要だが、一律一斉の学習指導・集団指導をする学校では、発達障害を持っている子はすごくしんどい。だから距離を取っても不思議はない。おまけに特性に対していじめや排除も起こり、それは親や教員がつかみにくい。


この記事は登録読者だけが閲覧可能な内容を含みます。続きを読むにはPublishers IDによる読者登録が必要です。