3月20日、「第三者の関わる生殖技術について考える会」が設立された。本連載では毎回、インタビューを掲載していたが、今回は、会の設立にあわせて、第三者の関わる生殖技術について、とりあげる。
AID当事者ら会を設立「是非を問い直したい」
「第三者の関わる生殖技術」とは、匿名の第三者による精子・卵子提供、体外受精、代理母出産などを指す。このうち、ドナーによる人工授精が「AID」と呼ばれている。AIDでもっとも古い歴史を持つのが、匿名の第三者(精子ドナー)からの精子提供。アメリカでは1884年に実施記録があり、日本では1948年に実施された。その後、体外受精が可能となり、精子以外の、卵子、受精卵(胚)の提供、代理母出産が、可能となった。1978年にイギリスで、日本では1983年に体外受精による子どもが誕生している。
体外受精の方法は、受精卵を凍結させ、解凍後に子宮内に戻す技術、このほか卵子に直接精子を入れる顕微授精の技術などが使用されている。また最近では、受精卵診断(着床前診断)という技術も実施されるようになった。これは体外で受精した受精卵を、四分割から八分割の状態になるまで待ち、分裂した細胞の一つを採取。採取した細胞を検査し、異常がなければ着床へ、異常があれば廃棄する。
これら体外受精の際には、着床を試みる受精卵以外にも予備がつくられるため、受精卵があまる。日本、ヨーロッパ、北アメリカなどの各国では、受精後14日以内ならば、あまった受精卵を実験材料として使用することを認めている。
このように「第三者の関わる生殖技術」の実施が進むなか、日本でガイドラインが作成されたのは96年(日本産科婦人科学会作成)。00年、01年に厚労省から報告書が発表され、精子・卵子・受精卵の提供認可と代理母出産の禁止に加え、子どもの出自を知る権利が認められた。しかし、現在も法制化には至っていない。日本産科婦人科学会によれば、現在、AIDで年間100~200人程度が生まれている。
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