連載第4回目は、「人間の権利と義務」をテーマに東京大学の川本隆史さんにお話をうかがった。聞き手は、昨夏、「不登校の子どもの権利宣言」を作成したメンバーが中心。なお、取材テキストには高校生向けの教科書「現代社会~地球社会に生きる~」(教育出版)が使用された。
 
――今日はよろしくお願いします。
 インタビューのテーマは「権利と義務にどうアプローチするか」でしたね。権利や義務については、法律学や法哲学からの接近もありえるでしょうが、私が守備範囲とする社会倫理学の土俵でお答えさせてもらいます。権利・義務に関連する学問分野をすべてカバーすることは私の力に余るからです。話のとっかかりに、「不登校の子どもの権利宣言」を起草したみなさんの率直な感想を聞かせてください。

――権利宣言をつくる際、長時間の議論を重ね、ようやく文章にできたという達成感があります。それと同時に、宣言を伝えていく責任も感じています。

 事前に「宣言」を拝読して、感心したり学んだりした点がたくさんありました。前文にも心をうつアピールが綴られていますが、とくに第一条「教育への権利」の「学校に行く・行かないを自身で決める権利がある」という文言は、まさしく宣言の出発点ですよね。あらためて確認するまでもなく、教育がなされる場所は学校だけにかぎりません。学校が教育を独占するようになったのは(正確に言うと、教育=学校という「通念」が成立したのは)、人類の歴史のなかでは近代以降の出来事に属します。


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