全国不登校新聞社の集会、発達障害を考える会
09年はオバマ大統領が就任、4月のプラハ演説で世界が核廃絶に向かって歩むべき歴史的流れについて、核兵器を使用した唯一の核保有国の責任と行動する決意を語り、ノーベル平和賞を受賞するなど、新しい潮流を感じさせるできごとが続いた。歴史的な世界大不況のなか、国内では自公政権が没落し、民主党の衆院選大勝により三党連立政権に政権交代された。しかし、自公政権下で生まれた貧困問題は多くの子どもたちの生活に深刻な状況をもたらし、いまだ明確な展望は示されないままだ。中卒、高卒、大卒の就職率も低下している。この状況のもとで、子ども・若者、とりわけ不登校問題を中心に09年をふり返る。(本紙理事・多田元)
権利宣言
不登校をめぐる動き
文科省は3月、高校の不登校生徒がフリースクールなど学校外の居場所に通う場合に校長判断で出席認定ができ、その場合に「実習用通学定期券」を利用できる通知を出した。08年の高校進学率は97・9%に達している状況で、高校に進学しても、学校外に居場所、学びの場を選ぶことができるのは、子どもの権利として前進であると言えよう。
他方、文科省08年度学校基本調査によれば、不登校は12万6805人と3年ぶりに微減(前年度比2450人減)。しかし、中学生は360万人と増加(前年度比8000人増)。文科省は、不登校の全体的減少について、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの「取り組みの成果」とコメントした。しかし、それらの取り組みがたんに不登校減らし、登校促進を目的とするのでは、真に子どもの視点に立った援助にはならないであろう。高校1年生が、不登校状態で孤立し、選択肢を見いだせないまま自己否定に陥り、状況を打開しようと父親を殺害した悲劇的な事件も発生している。
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