人の出発点は、みな一個の受精卵である。そこからはじまって、母の胎内で育ち、未熟な新生児としてこの世に生み出され、さらに20年ほどの年月を経て、次の世代を生み出していける身体になって、ようやく生き物として一応の完成に達する。この過程を「発達」というのなら、それはまさに人の成り立ちとして不可欠のものであり、これを抜きには人間の問題を論じられない。その意味で心理学において「発達」の研究が大きな位置を占めるのは当然であるし、だからこそ私も長い間この世界と付き合ってきた。しかし、近ごろの「発達」ばやりには、私自身、へきえきしていて、およそついていけない気分でいる。


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