不登校新聞

352号(2012.12.15)

論説「絆、絆と言うけれど」小沢牧子

2013年12月20日 18:40 by shiko
2013年12月20日 18:40 by shiko
 夕暮れの時間が好きだ。晩秋のそれはことさらに。西の空に茜色が残り、一番星が光る直前のひととき。木々や屋根のシルエットがくっきり浮かぶ。どこにいても、このときにはしばらく空を眺める。そしてわけもなく「大丈夫」という気分になる。子どものころから、いつも頭の上にある空のこの時間に、安心と励ましをもらってきたからだ。若い友人が、「その時間帯には名前があるんですよ。逢魔のとき、またはゴールデンタイムとも言うんです」と教えてくれた。人の心を深くとらえもするが、幼い子が泣き、病人が不穏になるときなのだとも。そういえば、いっしょに住んでいた義母が90歳をすぎたころ、「夕方のこの時間に、とっても淋しくなるの」と言っていたことを思い出す。やさしくまた恐ろしい自然の深みに人は否応なく組み込まれ、自然との強い絆のなかで日々を生きている。
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