厚労省によると、12年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待相談件数は6万6807件。統計を開始した90年の1101件の60倍、過去最多となった。年間約100人の子どもが虐待死にいたり、親から離れて児童福祉施設や里親の家庭で生活する子どもは約4万7000人にのぼる。
「日本子ども家庭総合研究所」のまとめによると、子どもの虐待に対応する児童相談所などの機関の費用や児童福祉施設の費用(直接費用)と、虐待の影響が長期的にもたらす生産性の低下や生活保護費、自殺による損失、精神疾患による医療費、反社会的行為による社会の負担(間接費用)を推計すると、虐待による社会的損失は合計1兆5336億円になると試算した。
家庭への福祉的援助による虐待防止や虐待を受けた子どもの回復と自立支援によって、こうした悪循環を絶つことは、大きな社会的損失を防ぐことができるのだろう。
子どもの人権に取り組む弁護士らがかかわる子どもの権利基盤型社会的養護というべき子どものシェルターや自立援助ホーム、ステップハウスなどは、13年に札幌、和歌山を加えて10団体に広がりを見せているのは明るいニュースと言えよう。
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