不登校新聞

279号(2009.12.1)

いのちとはなにか「尊厳死、家族の判断」

2014年01月15日 15:14 by 匿名
2014年01月15日 15:14 by 匿名


 「いのちとはなにか」第2回目の連載は社会学者・立岩真也さんのインタビューの続きを掲載する。前回は尊厳死について、「苦痛」「経済的問題」「自己意思」の観点からお話しいただいた。今回は、さらに踏み込んで、尊厳死・安楽死に反対する理由をお話しいただいた。

――前号でお聞きした話で、尊厳死・安楽死に反対されている理由が掴めてきた気がします。
 安楽死・尊厳死に反対するのは、もっと現実的な理由があります。

 去年、介護をしている大学院生から、こんな話を聞きました。

 60歳ぐらいの男性が、ALS(筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経疾患)にかかり、医者から告知された。男性は独り身のために家族のケアも期待できない。男性は「じゃあ治療はもういいです!」と病院に言ったそうです。ALSは進行性の病気で、介護、そして呼吸が苦しくなれば人工呼吸器なしでは生きられません。でも、男性が介護者にこぼしたのは「もういいですって言っちゃたけどさあ……」と。

 この男性は「もういいです」と、死を自己決定したとも言えます。私は絶対自殺しちゃいけない、とは言いません。そして最終的に自死は他人には止められません。しかし、なぜ自死を選ぶのか、そこには理由があります。誰だって他人から「もう死にたい」と言われたら理由を聞きます。その理由が、なんとかなりそうなものなら、その人のために努力します。人は理由もなく、他人の「自分の決めたこと」を認めてないのです。

 そんなことは、と応じていく道筋

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