連載「安心ひきこもりLIFE」


 当事者の体験談が直接、役に立つことは少ない。失敗を熟成させ、豊潤なひきこもり滑稽話に昇華させようとも、やはりヒント程度にしかなりません。ひきこもりに関して、誰かとまったく同じ状況、というのがないからです。年寄りの説教がうっとうしいだけで役に立たないのは、あまりにも時代がちがうからでしょ。中年とヤング、男子と女子、中卒と大卒。これがちがうと全然別の問題になるという要素がひきこもりには多い。

 ビジネス書のコーナーにはみっともないほど成功哲学本が並んでいます。著者とはまったくちがう部品でできた、さもしい人間がこれを読み、成功に憧れる「成功してない人」になる。ひきこもり体験談から、ひきこもりの解決法を見つけ出そうとするのも同じ行為です。かけ離れた境遇の人の忠告なぞ、しょせんは他人事、自分と同じ谷底の村人から心に響くアドバイスだけを受け取るのがいいでしょう。よくぞ言ってくれたと思えるようなものを聞きたい、共感こそ安心ひきこもりライフへのかけ橋です。


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