2012年度、学校が認知したいじめの件数は19万8108件と、前年度と比べて2・8倍に増加したことが文科省の調査で分かった。児童生徒1000人当たりの認知件数は14・3件と、前年度(5・0件)を大幅に上回った。近年、いじめは5年連続で減少傾向にあったが、報道の影響もあり、統計を開始した1985年以降、過去最多となった。
今回の調査結果において、いじめに対する認識を軸に、「いじめの認知件数」と「いじめの解消率」の2点に注目する。
いじめの認知 都道府県で差
「いじめの認知件数」について、どのような認識に基づいて調査されているのか。都道府県別に見ていくと、そのちがいが顕著だ。
もっとも多かったのは、鹿児島県で3万2167件。他方、もっとも少なかったのは佐賀県の207件だ。児童生徒1000人あたりの認知件数を比較しても、鹿児島県の166件に対し、佐賀県は2件と、83倍の開きがある。
なぜ、これだけのちがいが生じるのか。「いじめの認知件数」における明確な基準がないためだ。
鹿児島県が突出している理由の一つに、同県で取り組んでいるアンケートの変更が挙げられる。無記名かつ回答選択式にしたほか、冷やかしなどの軽微な事案についても、未然防止の観点からいじめとするよう周知徹底を図ったのだ。
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