不登校新聞

379号 (2014.2.1)

第32回 統合失調症の薬とは

2014年01月30日 14:40 by kito-shin
2014年01月30日 14:40 by kito-shin


連載「子ども若者に関わる精神医学の基礎」 


 今回から、「統合失調症」の治療薬、「抗精神病薬」について考えます。
 
 前回お話したクロールプロマジン(以下、CP)は、現在でも「ウインタミン」「コントミン」などという商品名で使用されています。
 
 この薬の化学構造は、つい最近までうつ病の中心治療薬だった三環系の抗うつ薬と、基本部分が同じです。その後開発されたレボメプロマジン(ヒルナミン・レボトミンなど)など、多くの「抗精神病薬」もいずれも似た構造の薬で、鎮静作用が問題でした。
 
 やがて、構造式の異なるハロペリドール(セレネースなど)が開発され、事情が一変します。鎮静しないでも幻覚や妄想を軽減することが可能で、服薬者の3分の2程度で有効だと判明します。
 
 ただし、将来、薬を中止しても何とか生活できると期待できる人は、その半分、つまり全体の3分の1程度と言われます。しかも、これはもっとも楽観的に見積もった場合で、多くの医師が「本物(?)の統合失調症」は一生投薬が必要だと考えています。
 
 同じ作用を持つ薬の効き目(力価)を比較するとき、「等価換算量」という言葉が用いられることがあります。たとえば、レボメプロマジンとCPは、同じ量でほとんど同じ効果があります。
 
 一方、ハロペリドールの場合、1㎎でCP50㎎ぐらいに相当する効果があります。このような場合、前者の2㎎と後者の100㎎は、いずれも同じ力価で、CP換算100㎎に相当すると表現します。
 
 私の経験では、薬が有効な例では、どの薬でもCP換算200~400㎎程度で、症状軽減が可能です。また、500㎎以上使用している例では効果に疑問があり、副作用の発現率は非常に高くなるので、慎重に投薬量を考慮する必要があります。

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