不登校新聞

380号 (2014.2.15)

第3回 本格発症した「その日」

2014年03月28日 15:32 by kito-shin
2014年03月28日 15:32 by kito-shin


不登校・統合失調症当事者手記 連載「私に起きたコト」


 小学校のときに起こったいじめは、中学校へ上がるとやみましたが、感情はうまく働かないままでした。学校では、ほとんど口をきかず、ずっと席に座っていました。それは苦痛な時間でしかありませんでした。私は学校を休みがちになり、やがて完全に不登校になりました。
 
 ある日、泣いていると、母がやってきて横に座り「もう、学校やめようか」とそっと言ってくれました。ふっと重いものが取れたようでした。不登校が許されたのです。親公認の不登校なんて、すごい。
 
 知り合いのつてで、精神科医を紹介されました。私の奇異な言動を母に聞いてのことでしょう。当時、私は家にこもりきり、人前で歩くことが苦痛になっていました。正しい歩き方がわからなかったのです。
 
 自分自身をまるで化け物のように感じてしまい、外を歩くと人を怖がらせる気がしてならず、世間に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。それを自分では「対人恐怖症」だと思いこみ、心理学に関する新書をひたすら読み漁りました。
 
 知り合いが紹介してくれた精神科医も、はじめそう思ったのでしょうか、いろいろな薬が試されましたが、一向に効きませんでした。1年ほど経って、ようやく合う薬が見つかりました。当時の私には知らされませんでしたが、それは「統合失調症」のための薬でした。つねに続いていた緊張が和らいで、自在に体を動かすことができることに驚きました。原因のわからない恐怖や不安に悩まされる日々が終わりました。
この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

「40代で人生2度目のひきこもり」ひきこもり経験者が語るふたたび動き出すまでの出来事と気持ち

624号 2024/4/15

「30歳を目前に焦っていた」就活失敗を機に大学生でひきこもった私が再び動き出すまでに取り組んだこと

623号 2024/4/1

14年の心理士経験を経てわかった「学校へ復帰するよりも大切なこと」

621号 2024/3/1

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

624号 2024/4/15

タレント・インフルエンサーとしてメディアやSNSを通して、多くの若者たちの悩み…

623号 2024/4/1

就活の失敗を機に、22歳から3年間ひきこもったという岡本圭太さん。ひきこもりか…

622号 2024/3/15

「中学校は私にとって戦場でした」と語るのは、作家・森絵都さん。10代に向けた小…