3兄弟の末っ子の息子が完全に学校に行けなくなったのは6歳、小学校1年生の秋だった。なんでもありの自由な教育方針の幼稚園から制約の多い小学校にとまどっているように見えた。初めから、きょろきょろと不安な顔をしているのを、私もやはり不安に思いながら見ていた。

 秋の運動会の翌日、いったん家を出たものの、ハンカチを忘れたと戻ってきた。そしてぷっつりと行かなくなった。それからは、一人で寝られない、寝つきが悪い、寝るといつまでも起きない、一人で遊べない、ご飯を食べない、機嫌が悪い、外に出ない、私から離れない、風呂に入らない、着替えない、暴れる、無理難題をふっかける……。

 生まれてから6年、順調に育ってきたと思っていたすべてのことがひっくり返った。もう学校どころではない。このまま退化し続けて命の源がしぼんでなくなってしまうのではないかと、寝ている顔をどきどきしながらのぞいたり体のぬくもりを確かめずにいられない日々だった。


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