2009年6月27日、国立教育政策研究所が「いじめ追跡調査2004~2006」を発表した。追跡調査によると、8割以上の小中学生がいじめられた・いじめた経験があった。今回の調査では04年度~06年度当時、小学校4年生~中学校3年生だった約4800人を対象に行なわれた。調査は04年度から06年度にかけて計6回、実施された。国立教育政策研究所は98年~03年にも同様の追跡調査を実施している。
調査方法は、子ども本人が記入するアンケート形式で行なわれた。アンケート内容は、「仲間はずれにされたり、無視をされた」「お金や物を盗ったり、壊した」など、いじめの加害・被害度合いを計る質問に対し、それがどのくらいの頻度で行なわれたか・行なったかを回答する形式になっている。頻度は「週に1回以上」「学期中に1~2回」「月に2~3回」「ぜんぜんなかった」の4段階。
追跡調査のアンケートは半年ごとに実施された。3年間の推移を見ると、「仲間はずれ・無視・陰口」などのいじめ被害が「ぜんぜんなかった」と答えた者 が、40%~65%のあいだで上下し、「学期中に1~2回」と答えた者は16%~28%、「月に2~3回」が5%~13%、「週に1回以上」が 9%~22%のあいだで変動した。一方、いじめ加害率は、「ぜんぜんなかった」と答えた者が45%~61%、「学期中に1~2回」が21%~34%、「月 に2~3回」が7%~14%、「週に1回以上」が4%~13%のあいだで上下した。
いじめの風景子どもの日常に
中学校1年生~3年生にあがる3年間のうち、1回でも「仲間はずれ・無視・陰口」などのいじめ被害にあった者は、全体の81%を占め、小学生では全体87%を占めた。一方、いじめの加害者になった者も、中学生では82%、小学生では84%を占めた。
追跡調査では特定の者がいじめの加害者・被害者になっているかを調べるため、集計結果が分析された。分析結果によると、2004年度の中学生1年生のう ち、いじめ被害が「週に1回以上」と答えた者は687名中56名(8%)いたが、このうち、中学3年生の11月になっても「週1回以上」のいじめ被害があ ると答えた者は2名(0・3%)だった。同様に、小学4年生の~小学校6年生まで「週に1回以上」のいじめ被害があると答えた者は1・4%(784名中 10名)だった。いじめの加害率も同様で、中学校の3年間のうち一貫して「週1回以上」のいじめ加害を行なった者は0・3%(687名中2名)。小学校で も0・3%(784名中2名)だった。
06年秋には、いじめが社会問題化し、「いじめの第3ピーク」とも報道された。しかし、国立教育 政策研究所は「ピークがあったとは言い難い。むしろ、報道の影響やそれを受けた大人の対応の影響さえも子どもの実態には関係なかったと言える」とコメント した。また「加害者と被害者が毎回の調査で入れ替わっていた。特別な背景や問題があって、いじめが起きるのではなく、どの子どもにもいじめは起こりえる、 と考えるのが妥当」だとの見解を示した。
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