私が初めてアルバイトをしたのは16歳の誕生日のすぐ後のことだった。動機は原付のバイクを買うため。「16になったらバイクに乗る」と、ずっと思っていた。別にかっこいい理由はなく、近所が坂だらけだったからキツかったし、メンドくさかっただけの話。
中学1年生のときから不登校になり、復帰できないまま卒業証書だけいただく。みんなが高校へ行くなかで、自分は(当時の)大検を受けるための予備校に通い始めていた。その年の夏に1つでも多くの科目をパスしようと、けっこう真面目に通っていたし、全体的にモチベーションは高い時期だったんだな、といまは思う。
バイトの種類に関して、とくにこだわりはなかった。なかったが、「接客は絶対無理だな、だって登校拒否児だし。体使う仕事も無理だな、だってひきこもりだし。頭使う仕事も無理だな、だって学校行ってないし。あまり大きい店も無理だな、だって……」という具合に考えていけば、それほど多くの選択肢は残っていなかった。私は近くのファミリーレストランの皿洗いのアルバイトを始めた。
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