JDECで行われたセミナー「世界のデモクラティックスクール」の抄録を掲載する。

 フリースクール、デモクラティックエデュケーションの歴史をふり返ると、その始まりは、20世紀初頭にありました。このころ「サマーヒルスクール」(イギリス)、「シカゴ実験学校」(アメリカ)などが生まれ、日本でも「池袋児童の村小学校」や「トモエ学園」など子ども中心の教育を理念とした学校が誕生しました。

 というのもヨーロッパでは第一次世界大戦(1914年~1918年)のショックがたいへん大きく、自分たちの価値観を根底から揺り動かすほどのものであったからです。そもそもこの戦争を戦争を支えていたのが「よい兵隊・よい産業戦士」を育てるための教育でした。こうした教育に対して異を唱えるなかで生まれたのがデモクラティックエデュケーションです。シュタイナー、モンテソーリ、フレネなどの教育理念が生まれたのもこの時期です。

 次の転換点は1960年代。「フリースクールムーブメント」と呼ばれ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどでフリースクールが生まれました。このころ、ベトナム戦争(1959年~75年)の議論や公民権運動の高まり、日本を含め世界各地での学生運動の隆盛などがあったわけです。こうした運動は、物質主義・資本主義をふくめた社会のあり方を捉え直していく動きから派生したものだと考えられますが、フリースクール運動もその一つだと捉えていいと思います。

 1980年代も転換点の一つと言えるでしょう。80年代以降には、イスラエル、韓国、台湾などで数多くのフリースクールが誕生し、ネットワーキング活動も盛んになりました。IDEC(世界フリースクール大会)が生まれたのも80年代ですし、日本、韓国、ヨーロッパなどで地域ネットワークが形成されています。

 フリースクールは残念ながら教育の主流ではありません。しかし、20世紀初頭に細々と生まれ、現在、世界各地でたしかな運動が拡がっていると言えます。

 世界の実践


 ここからはデモクラティックスクールの実践を紹介しましょう。


この記事は登録読者だけが閲覧可能な内容を含みます。続きを読むにはPublishers IDによる読者登録が必要です。