連載「渡辺位さんの言葉」


 神経症の長いトンネルを抜けるのに20年以上かかってしまいました。たくさんの本との出会い、なかでも渡辺先生の本との出会いによって、かろうじてトンネルの向こう側に立つことができました。現実の渡辺先生にお会いしたのはわずかに2度だけです。ですから僕にとって渡辺先生は本のなかの人です。
 
 神経症の症状は視線恐怖、強迫的な確認行為、頭の強い違和感などでした。焦りや不安がものすごくて、生きていること自体、怖かったです。
 
 もともと、集団がとても苦手なのにもかかわらず、世間体みたいなものを非常に気にしていました。世間で一般的とされている生き方、つまり会社員にならないと生きていけないと心の底で思い込んでいました。
 
 人並みにならなければとデイケアに行ったり、就労支援を受けたり、長いあいだ薬を飲んだりしていました。かたちのうえで人並みになることで、心に安心が訪れて神経症がよくなると思っていたのです。でも、ダメでした。僕は本来の僕自身に帰ることが必要でした。


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