連載「日々発見」
人の目線が怖いと言っては自宅にひきこもり、ときおり、相談支援のソーシャルワーカーや関係機関に「どうせ、私なんか早く死んじまえばいいと考えてるんでしょ!」と泣きじゃくりながら電話をかけてきたA子さん(20代)。
A子さんが訴えるつらさのなかにネットの掲示板の書き込みの問題がありました。その中身は、掲示板に私の知らないはずのプライバシーが暴露され、それをもて遊んだり、侮辱したりする内容が書き込まれているというものでした。「きっと、私の部屋に盗聴器が仕込まれているかもしれない」というA子さんの深刻な訴えから、関係者の多くは、それは大変だと心配し、盗聴器を探しだす業者に依頼し部屋の点検を依頼したり、警察に相談したりと大わらわでした。そんな対応に追われる関係者の一人からA子さんへの対応についてアドバイスを求められたとき、私はひと言、「あまり深刻にならないこと」と答えました。それは、長年にわたりA子さんのような困難をかかえる人たちと関わってくるなかで身につけた一種の"作法”のようなものです。
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