06年度、学校基本調査によると、定義変更の関係もあり、いじめの発生件数は昨年度比の6・4倍にふくれあがった。いじめはなぜ起きるのか、この点について再度、考えてみたい。今回、取材をしたのは瀬田麻衣子さん(19歳・仮名)。

 瀬田麻衣子さんは兵庫県北部・但馬地方のある町で育った。この町は但馬地方らしく三方が山に囲まれ、北部のみ日本海が広がっている。兵庫県とはいえ、神戸や明石といった都会からは遠い。人口は約2万人、土地は4割以上が山林で、田畑が5%、宅地は1%のみ。瀬田さんによると、地元は1㎞四方ごとに100~数軒の集落によって成り立っている。瀬田さんの集落は十数軒で半数が同姓。親戚・縁戚にあたる者が多いが、そもそも土地を離れる者のほうが少なく、代々に渡って密接な仲が続いている。なお、瀬田さんの家は築100年。とくに「めずらしいほうではない」らしい。仕事はみな兼業農家で、この地方の段々畑は名物だ。

 学校にはこうしたいくつかの集落から子どもが通ってくる。規模は1学年20人程度。瀬田さんの学級もちょうど20人だった。

 小学校でいじめが起きたのは4年生のとき。基本的にこの学級は幼・小・中とまったく同じメンバーで進級する。このとき標的になったのは瀬田さんではなく、別の女の子だった。この女の子もずっとこの地域で育っていたが、1年間だけ他校へ転出し、その後、地元に戻ってきた。そのときの瀬田さんの驚きぶりが地域性をよく物語っている。

 きっかけは言葉がちがう


 「先生から転校だと言われても、何を言ってるのか分からなかった。地域から出ることが想像できないというか……。大げさに言えば、あの子は突然、別の惑星に行っちゃって、そこから帰ってきたような感覚」。


この記事は登録読者だけが閲覧可能な内容を含みます。続きを読むにはPublishers IDによる読者登録が必要です。