教員の人権感覚欠如を指摘

 

 東京都品川区の区立中学校1年生の男子生徒が、9月26日、自宅で首を吊り自殺した問題で、品川区教育委員会は、学校関係者を排除し、遺族、学識経験者らによる外部調査委員会を設置した。外部調査委員会に遺族が加わるのは異例のこと。11月7日、調査委員会は報告書を作成。報告書では、いじめを発見できなかった教員の人権感覚、学校の組織機能が欠如していたことを再三、指摘した。今後、外部調査委員会は、報告書の内容をもとに品川区、学校に改善策を要求していく予定だ。

 報告書によると、自殺した男子生徒へのいじめは中学校入学当初から始まっていた。いじめは4月上旬、小学校時に男子生徒がいじめられていたことを吹聴されたことから始まった。4月下旬からは男子生徒の持ち物が壊される、隠されるといった事態が継続的に起き、6月下旬には男子生徒の上履きが女子トイレに投げいれられる、自宅付近で「学校で殺すぞ」などと生徒から言われるといった事態が起きていた。これに対し、男子生徒は自身で3度、保護者からは1度、担任へ改善を申しいれた(保護者からの申告は担任の記憶にはない)。担任は、男子生徒が「きもい」「うざい」と言われていたことを耳にしていたこともあり、ホームルームなどで学級全体に対し指導。

 その後、事態は改善されず、いじめは悪化。7月上旬には10名ほどが男子生徒を蹴っているところを学校教員が発見した。このほか6名の生徒が中心となり「すれちがいざまに殴る」「ぶつかる」「靴下をぶつける」「転ばせる」などの暴行が男子生徒に加えられていた。また暴行以外にも、男子生徒を「バイ菌扱いする」「他人が男子生徒と会話しないよう諭す」などのいじめが見受けられた。

いじめ対策のアンケート後も

 7月中旬、大津いじめ自殺を受け、品川区教委は各学校に緊急アンケートを要請。男子生徒はアンケートに「物を2度、壊されている」ことを記載。さらに同アンケートで今後、問題は「解決できそう」に「○」と「?」を書き込んだ。

 この後、9月から「暴力はなくなったが言葉の暴力が増えた」という証言があるとおり、男子生徒はすれちがい際に「うわっ!」と言われる、男子生徒の机に触れないようモップで引っかけて掃除されるなど、学級と学年全体でのいじめが常態化していたことがわかった。事後調査では直接的な加害者(無自覚含む)は32名。
 
 こうしたいじめがあったにもかかわらず、学校・教員側が認識できなかったのは「人権意識の欠如だ」と外部調査委員会は指摘。またいじめに対して形式的な対応であったこと、いじめを複数の教員が見ていたにもかかわらず共有が図られていなかったことなど、学校の組織機能の欠如も指摘した。報告書では教育委員会、学校の「責任は重い」と結論づけた。(石井志昂)