「ひきこもりUX会議」の打ち合わせのようす。写真右端:石崎森人
11月30日、イベント「ひきこもりUX会議~ひきこもり支援 当事者8人からの実用的な提案」を全国不登校新聞社ら5者共催で開催する。イベントの運営者の1人、石崎森人さんにその思いを執筆いただいた。
ひきこもっていた当時、精神科病院に通っていれば、いつかよくなると思っていた。そこしかないと思っていた。ただ、そこで指導されることは、対症療法的であり、根本的な解決にはならなかった。
「朝がダルくて、起きられない」と訴えれば、朝起きやすくなるとされる薬を処方される。「早く寝なさい」「眠れないから寝る前に悩むのはやめなさい」「日中起きてないから夜眠れないんだ」などなどのアドバイスをもらったが、それができたら最初から悩まない。
ある日、たまたま病院の壁に貼ってあったグループカウンセリングの集会を知り、自分のように出口が見えない人たちの受け皿が病院以外にもあることを知った。考えてみれば、ひきこもっているときに、ひきこもり支援についてネットで検索をかけることは怖い。外出も病院やコンビニぐらいしかない。部屋にテレビはないし、新聞は親のところにある……。どんなに支援があっても、情報は届いてこない。
そこから、ワラをもすがる思いで、さまざまな団体、機関をめぐった。ハローワーク、サポートステーション、カウンセリング、デイケアなどなど、病院も含めると17機関以上にもなった。
正直に言えば、どこも自分に合わなかった。いまのきつい状態、苦しい状態が終わるとはとうてい思えなかった。
「障がい者雇用枠でいいから働きたい」とハローワークの門を叩いたこともある。けれども担当の人は「難しいと思いますね」と言って建設的な話はできなかった。サポートステーションにも通ったことがあるが、なんだか子ども扱いされるだけで、まったく居つきたくなかった。
いまふり返れば、各機関、団体がやろうとしていたことの意味は、なんとなく理解できる。それをすべて否定したいとも思わない。しかし、多くのひきこもりの人にとって、既存の支援は、ひきこもり支援になっていないのではないかと思う。17機関も訪ねて、どこにも頼ろうと思えない状況は、すくなくとも支援体制が整備されているとは言えない。
私の場合は、数ある支援に救いを求めるのではなく、自分自身と向き合い、プランニングし、自分の考えを突き詰めていくことでしか道が見えなかった。本当はいっしょに考え、サポートしてくれる場がほしいというのはあるが、現状でそういうことをやっている団体は少ない。
私と同じように既存のひきこもり支援やひきこもり観になんらかの違和感を感じた人、自身の経験からひきこもり支援の新しいかたちを提案できる人たちといっしょに11月30日に「ひきこもりUX(利用者経験)会議~ひきこもり支援当事者8人からの実用的な提案~」というイベントを開催することにした。私もそれに登壇する。どうやって支援と当事者をつなげることができるのか「当事者目線」でプレゼンしたい。できれば来ていただければ幸い。(了)
2014年11月30日(日)
■ひきこもりUX会議~ひきこもり支援 当事者8人からの実用的な提案
◎会場 東京ウィメンズプラザ ホール(東京都渋谷)
◎時間 午後2時~4時30分
◎参加費 一般 1,00円[当日1200円]/ひきこもり当事者300円
◎H P 公式HPはこちら
◎講師
岡本圭太(地域若者サポートステーション相談員)
丸山康彦(ヒューマンスタジオ代表)
勝山実(ひきこもり名人)
小林博和(ひきこもりドキュメント映画「home」上映委員会委員)
林恭子(ヒッキーネット/新ひきこもりについて考える会)
石崎森人(『不登校新聞』子ども若者編集部)
川初真吾(コヨーテ代表理事)
恩田夏絵(ピースボート・グローバルスクール )
◎申込方法
②全国不登校新聞社に連絡して申し込む(℡03-5963-5526/FAX03-5963-5527)
※電話/FAXの場合、参加者名とイベント参加希望の旨のみお伝えくだされば申込完了です。
◎主催
岡本康平
恩田夏絵(ピースボート・グローバルスクール)
林恭子(ヒッキーネット/新ひきこもりについて考える会)
川初真吾(一般社団法人コヨーテ)
NPO法人全国不登校新聞社
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