不登校新聞

339号(2012.6.1)

不登校の歴史 第339回

2013年07月30日 11:15 by kito-shin
2013年07月30日 11:15 by kito-shin

準備にたいへんな夏



 開校8カ月前の2006年7月7日、東京都の私学行政課によるヒアリングがあった。8月末には、学校法人認可のための書類を山ほどそろえなければならなかった。また9月半ばまでに、許可に必要な資金をそろえなければならなかった。その間、やらなければならないことが山ほどあり、楽しくもたいへんだったこの夏のことは、後々まで忘れられない。

 まず、「建学の精神」を定め、各種契約書を作成し、教材や教具のリストを用意した。「建学の精神」は、一番の原点を「子どもはいのちの塊である」に置きたいと思った。いのちはかけがえがない、そして自ら成長力を持っている、みなそれぞれちがうのがいのちだ、その個性に寄り添い、その個々の命が主体として育つのを支えるのが教育という営みであり、学校の組織なのだ、と私は考えてきた。それを起草して、多くの賛同を得た。子どもからの出発を宣言したのである。大人の思うあるべき姿に子どもを押しこめるよくある教育のイメージとは根底からちがう生命観、子ども観、教育観を短い文章に込めた。

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

第18回 寝屋川教師刺殺事件【下】

232号(2007.12.15)

最終回 家庭内暴力とは何か【下】

232号(2007.12.15)

第232回 不登校と医療

232号(2007.12.15)

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

624号 2024/4/15

タレント・インフルエンサーとしてメディアやSNSを通して、多くの若者たちの悩み…

623号 2024/4/1

就活の失敗を機に、22歳から3年間ひきこもったという岡本圭太さん。ひきこもりか…

622号 2024/3/15

「中学校は私にとって戦場でした」と語るのは、作家・森絵都さん。10代に向けた小…