連載「渡辺位さんの言葉」


 「ことばには、心・気持ちがある」「現象にとらわれてはいけない」「人間は心で生きている」。
 
 先生は、いろいろな言い方で、ことばや現象の背後にあるものを、理屈ぬきで感じることの大事さを伝えてくださった。不登校や親ゼミに出会った当初、子どもの表面的な言動や姿に一喜一憂し、どうしていいかわからない不安と焦りでいっぱいだった。心のなかで自分を責め、なんとかしなければ……、という思いは子どもの「いま」を否定してしまっていただろう。相手のことを思っているようで、じつは、自分のつらさをなんとかしたくて精一杯だったのだ。そんな母に子どもの心が通じるわけはなく……。
 
 何とかしようとするのではなく、感じること……。今までの価値観をちょっと置いて疑ってみる。それまで、無意識のうちに評価や世間体を気にして、子どものつらさや気持ちを受けとめられていない自分の存在。ことばや現象の裏にあるものは、なにかのサインだったり、反応を確かめるためのものだったり、承認されたい気持ちのあらわれかもしれない。受けとめる、こちらの姿勢が問われるのだ……、ということが少しずつ自分のなかに入ってきて、本当に狭い観方しかできていなっかたのだと、なんとも言えない気持ちがした。


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