フリースクール支援策を積極的に推し進める下村博文文科大臣。2005年、不登校新聞の取材で大臣(当時は政務官)が、フリースクール支援には、バウチャー制度を構想していたことを明らかにした。以下、2005年11月1日の不登校新聞のインタビュー発行号より。

 文部科学省の下村博文・大臣政務官にインタビューした。下村政務官は、不登校に関して、フリースクールやNPOの役割を積極的に評価し、文科省は今年度から民間11団体に約700万円ずつの助成を出した。また、文科省はNPOとの懇談会を3回にわたって開催しており(本紙171号参照)、教育バウチャー制度についても検討を始めている。思い切った「改革」はどのようにして行なわれたのか、今後にどのような見通しをもっているのか、お話をうかがった。

――最近、文科省の動きがいろいろなあり方を認める方向に規制緩和されており、下村さんの力も大きいのでは、と言われていますが、ご自身はなぜそのような改革を?
 大学時代に学習塾をやっていたんですが、たまたまそこにきた子どもたちが、学校で問題児だったり、いじめにあっていたり、警察にお世話になっているような子ばっかりだったんです。その体験から、学校だけの自己完結型の教育だけではフォローしきれないなと感じていました。
 
 私は、民間教育で活躍されている方は社会の財産・資源だと思います。民間で不登校と関わっている方の経験は、ある意味では公教育の先生よりも大きな部分がある。それを無視するというのは、公教育、文科省のおごりです。草の根的に教育に携わっている方々に対して、制度の枠にとらわれず、文部科学省がいかに光を当ててバックアップするかが、教育を受ける子どもたちの可能性を広げることにつながると思います。

――ただ、他方で学校復帰強化があり矛盾にも感じますが?
 今の公教育は画一・均一教育です。近代工業化社会、高度経済成長までの義務教育はそういうものでよかったと思います。しかし、これからの時代は脱近代工業化社会です。それぞれの個性、人間的な魅力が社会にどう貢献できるかが問われている。それに対して、今の学校教育システムは対応できていません。ですから、学校教育以外の部分で、子どもたちをフォローアップできるところがあれば、学校として認めていくべきだと思います。
 
 しかし、一方ではニートやフリーターが深刻な問題になりつつありますね。ニートやフリーターとして生活し続けることは、その人にとってだけでなく、社会全体の負担も増えますから、不登校の子どもがニートやフリーターにならないための方策も必要です。それが学校復帰の働きかけにもなる。
 
 既存の学校に対しては、学校制度自体を不登校の人にとっても行きやすいような状況にしていく必要があるし、それだけではなくて、フリースクールのようなところを多様な学校として認めていくことも必要。そういう両面を認めていくような社会の柔軟性が必要です。

――省内の反発はありませんでしたか?
 抵抗感はありましたね。私が「教育・青少年育成分野で活動するNPO法人関係者等との懇談会」を提案したときも、「特定の人たちと懇談するのは……」といったタテマエ的な反対はありました。しかし、NPOの人たちは文科省の欠陥やマイナス点を指摘してくれているのだから、謙虚に耳を傾ける姿勢が必要なんです。
 
 我々は政治主導で役人に対して指示を行なう立場です。ですから私が必要だと思うことであれば、省内で反対があっても、進めていきます。


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