子どもシェルターの設立者が語る
シェルターの役割


  弁護士として、社会福祉法人「カリヨン子どもセンター」の理事長として、いじめや虐待に苦しみ、生きるか死ぬかの瀬戸際まで追い詰められている子どもたちに寄り添いながら活動してきました。

 入学した学校で壮絶ないじめを受け、自殺未遂を図った少年。父親からの激しい虐待にあい、薬物・シンナーでボロボロになりながらも、毎日を必死で生きている女性。彼らとの出会いは「日本の子どもは幸せだ」と思い込んでいた私の根底を覆すものでした。無力感に打ちひしがれる日々。私はただ彼らに会い、話を聞いてあげることしかできませんでした。
 
 同時に、私はずっと葛藤していました。「今夜帰るところがない」という子どもの訴えに応えてあげられなかったのです。以前、少年院を出てきた17歳の少女が私を訪ねてきました。1度は自宅に泊めてあげたのですが、次に訪ねて来たときには私の子どもが熱を出してしまい、泊めてあげることができませんでした。「今日は友だちのところに泊まるから大丈夫。また明日ね」と言って別れましたが翌日、彼女は待ち合わせ場所に来ませんでした。
 
 一週間後、警察から電話がありました。風俗で働いていた彼女を保護した、と。友だちの家に泊まるなんて嘘、年齢を偽って風俗で働いていたんです。行き場のない彼女の命の恩人となったのは、違法と知りながら風俗で働かせた店長だったわけです。いったい、私たちは何をしているんだろう。葛藤は日増しに強くなり、「子どものシェルターがほしい」と、しだいに考えるようになりました。


この記事は登録読者だけが閲覧可能な内容を含みます。続きを読むにはPublishers IDによる読者登録が必要です。