不登校新聞

405号 2015/3/1

【公開】不登校協力者会議発足

2015年02月26日 14:55 by shiko
2015年02月26日 14:55 by shiko


 2月10日、「不登校に関する調査研究協力者会議」が発足(主査・森田洋司氏)した。1月30日に発足した「フリースクール等検討会議」では、下村文科大臣が「21世紀の人材育成は公教育だけでは通用しない」というあいさつから始まり、学校外の居場所やフリースクールの必要性を考慮して議論が行なわれた。しかし、協力者会議では、現在の学校教育を前提とし、不登校の子どもの「早期発見・早期対応」「未然防止」の必要性が相次いで示された。
 
 早期発見・早期対応、未然防止を求める理由・背景としては「不登校が長期化すると回復が困難になる」「すそ野を広げた支援が必要」などの発言があった。これらの発言趣旨や指摘は、02年の協力者会議でも指摘された点だ。主査も前回同様の森田洋司氏。今回も大枠では02年路線を踏襲して検討が進められていくものと思われる。
 
 第1回会議では、座長の選出、不登校に関する調査結果や適応指導教室の現状などの事例発表、「論点例」の発表、自由討議などが行なわれた。自由討議のなかでは「道徳観や生き方を伝えることで学校に行ける子もいる」などの発言もあった。

新しい視点も見受けられたが

 
 一方、新しい視点の意見も見受けられた。「苦しんでいる子に『味方がいるよ』と伝えられる会議にしたい」「不登校を負の社会現象として捉えず、フレキシビリティのある制度をつくるべき」「休み方を知らずにバーストしてしまう子も多いので『お休み券』を配ってみたらどうか」などは、02年の協力者会議では見受けられなかった発言だった。
 

示された今後の方向性

 
 今後の方向性は、昨年末に文科省内の検討チームが検討・整理した「論点例」によって垣間見ることができる(2面参照)。論点例には、「発達障害」「貧困」「重大ないじめについての取り扱い」など、02年の協力者会議では盛り込まれていなかったテーマも盛り込まれた。「いじめ防止対策推進法」によって、重大ないじめで不登校になった場合、「適切な支援を受けつつ学習することができる」ように政府が検討することが義務づけられている。
 
 会議は原則公開とし、中間まとめは6月ごろに発表される予定。(石井志昂)
 

◎メモ「協力者会議」とは


 「不登校に関する調査研究協力者会議」は、文科省の不登校政策の大枠を決める会議として位置づけられている会議。92年の第1回会議(主査・坂本昇一氏)では「不登校は誰にでも起こり得る」との見解が示され過度な登校圧力が弱まった。しかし、02年の第2回会議(主査・森田洋司氏)は「早期発見、未然防止」の重要性を主張。結果、登校圧力がふたたび強まった。

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